34 in ページ34
.
某テレビ局の廊下を歩いていると、やけにオーラを放つ存在が前から向かってくるのがわかる。
最近染めたという金髪を揺らして、何やら共演者と楽しそうに話している彼。
嘘だろ、と思うと同時に疾しい事は何も無いはずなのに急いで携帯に目を向けてその存在に気づいていないのように振る舞う。
通り過ぎるまであと3秒。
どうか、俺の存在に気付かないでくれと願いながら出来るだけ気配を消した。
だけどその努力も虚しく
「あれ、伊野尾ちゃん」
と声を掛けてくる君。
やけに構えていた俺は「やっほー」なんて感情のない挨拶を返してしまう。
しかも、そのまま通り過ぎようと思ったのに、山田が立ち止まるもんだから、俺もつられて立ち止まってしまう。
そしたら共演者の人も気を使ってか、俺に会釈をするとそそくさとその場を立ち去ってしまったじゃないか。
「あ、えっと……奇遇だね」
廊下に残された2人はこのまま会話をするしかなくなってしまい気まずい雰囲気が流れる。
山田は言葉を詰まらせながら俺に他愛もない話を振った。
そんなんだったらお前が立ち止まらなきゃ良かっただろと少し彼を恨んだ。
「うん。収録があって。やまだは?」
「俺は映画の番宣……」
「そっか」と答えれば再び止まる2人の会話。
「あー、あの、この間はごめんね」
話題を探そうと頭をフル回転させていたら、出てきたのは山田が声を掛けてくれたこの間の出来事だった。
突然話題を切り替えたからか、その話題を出すとは思っていなかったからか、山田は少し驚いた表情になる。
「あ、いや、俺こそ突然……」
「予定があったんだけど、別に、山田が思ってるような予定じゃなくて……あの、普通の、さ、」
普通の、、何なんだ。
山田を前に、しなくてもいい余計な言い訳が口からするすると飛び出す。
今更山田にとっての俺の印象なんて弁解する必要なんてないのに。
俺は段々と顔に熱が集まるのを感じて山田から顔を逸らした。
「伊野尾ちゃん、お昼食べた?」
不意な話題転換に思わず顔を上げる。
って俺も人の事は言えないけど。
「え、いや。まだだけど……」
「じゃあ一緒に食べに行こ。この間の埋め合わせしてよ」
有無も言わせず俺の手首を掴む君。
服越しだが、裕翔に付けられた傷が痛み少し顔を歪ませると、彼は何かを気づいたのかその手を腕の奥の方へと持ち変える。
そして彼はそのまま俺を引っ張るようにして廊下を進み出した。
.
638人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Hey!Say!JUMP」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんこ(プロフ) - 時雨さん» 初めまして!コメントありがとうございます(´;ω;`)そして凄く嬉しいお言葉も……、ありがとうございます!!もうほんと私の性癖(?)でまくりの作品でしたが楽しんで頂けたのならとても嬉しいです!!引き続きよろしくお願い致しますー! (2017年11月16日 8時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。完結おめでとうございます! お疲れ様でした。あんこさんの文体というか、表現の仕方が私的どストライクで、この作品ほんとに大好きです!! 三人の設定もほんとに好きでした……素敵な作品をありがとうございました! (2017年11月14日 0時) (レス) id: dcd1a2d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございます(´;ω;`)もっとドキドキして貰えるような展開でいけるよう頑張りますので引き続きよろしくお願い致します!楽しみにして頂けて嬉しい限りです! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。まさかの展開にドキドキしてますよ(^ω^)山田さんはどうなるのかな?とか楽しみに待ってます! (2017年10月23日 13時) (レス) id: ec3abc1ac2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 泡雪さん» コメントありがとうございます(´;ω;`)他作品も読んで頂けたとは、大変嬉しいです!!応援のお言葉ありがとうございます!流れを止めないように頑張りますので引き続きよろしくお願い致します! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あんこ | 作成日時:2017年10月7日 0時