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メンバー同士の仕事終わり、そろそろ山田が声掛けてくる頃だろうかと目線だけで山田を探す。
すると、不覚にも彼と目が合ってしまった。
「あ、いのちゃん、今日ご飯食べて帰ろーよ!」
急いで視線を外したというのに、
目が合った裕翔からの突然の誘い。
あれから彼は何も仕掛けてくることはなかったのに。
何かがまた動き始めた気がして心臓がバグバクする。
「え、いや……今日は予定があって……」
うるさい自分の心臓の音に飲み込まれてしまいそうだった。
それにわざわざメンバー全員が揃っている場所でこんなに大きな声で誘われてしまえば、周りにも聞こえているはず。
俺はだから不自然のないように返事をしようと心がけるが、自分の声が隠しきれず震えているのがわかる。
嫌だ、2人きりになんてなりたくない。
「へぇ、そんな冷たい事言うんだ……」
そう言いながら裕翔が近づいてきたので反射的に1歩下がるとそこはもう壁だった。
言葉とは裏腹に裕翔は俺に満面な笑みを見せる。
俺にはわかる。
これはいつもの笑顔ではなく、あの日に見た笑顔。
傍から見たら裕翔の笑顔のおかげでじゃれているように見えるのだろうか。
周りは特に俺達を気にしている様子はなかった。
すると、俺を壁に追い込むように裕翔がそっと耳元へ口を寄せてきた。
「あの日のディスク。俺の鞄の中にあるけど」
裕翔が囁いた言葉は、いつかこう使われるのではないかと予測していた通りの悪夢が現実となり、山田で満たされ少し浮かれていた脳内を一瞬で現実に引き戻す。
俺の身体は凍ってしまったようにその場から動けなくなった。
「ほら、いのちゃん!帰ろ!」と元気よく俺の手を掴む裕翔に、もう俺は言いなりになるしかなかったんだ。
連れてこられたのは案の定裕翔の家。
先に入ってと言われ、俺の背後で裕翔が締めた家の鍵が閉められる音は酷く重い音として俺の耳に響いた。
俺は裕翔の方を向くことも出来ず、まるで自身を守るように両腕を抱え込む。
「最近さ、ヤマとやけに仲良ししてない?」
「して、ねーよ……」
「いのちゃんの変化に、俺が気づかないと思ってるの?」
裕翔は、最近よく山田とこそこそ話している事や、自覚はないが少し変化した俺達の距離感について指摘した。
そして、知念が何気なく裕翔に伝えたのであろう。
あの日、山田にかけた電話口で俺の声がしたという事も。
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あんこ(プロフ) - 時雨さん» 初めまして!コメントありがとうございます(´;ω;`)そして凄く嬉しいお言葉も……、ありがとうございます!!もうほんと私の性癖(?)でまくりの作品でしたが楽しんで頂けたのならとても嬉しいです!!引き続きよろしくお願い致しますー! (2017年11月16日 8時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。完結おめでとうございます! お疲れ様でした。あんこさんの文体というか、表現の仕方が私的どストライクで、この作品ほんとに大好きです!! 三人の設定もほんとに好きでした……素敵な作品をありがとうございました! (2017年11月14日 0時) (レス) id: dcd1a2d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございます(´;ω;`)もっとドキドキして貰えるような展開でいけるよう頑張りますので引き続きよろしくお願い致します!楽しみにして頂けて嬉しい限りです! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。まさかの展開にドキドキしてますよ(^ω^)山田さんはどうなるのかな?とか楽しみに待ってます! (2017年10月23日 13時) (レス) id: ec3abc1ac2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 泡雪さん» コメントありがとうございます(´;ω;`)他作品も読んで頂けたとは、大変嬉しいです!!応援のお言葉ありがとうございます!流れを止めないように頑張りますので引き続きよろしくお願い致します! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2017年10月7日 0時