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「今度、一緒に買い物でも行こうよ」
「なに珍しい」
ベッドにうつ伏せに寝転がりながら携帯を弄っていたら、山田が俺の上に乗っかるように寝そべってきたので、重いとクレームを付けて身体を捻ると山田の身体はそのままポスっと横に落ちた。
「アンタの洋服でも選んであげる」
仰向け状になった状態でこっちを見る山田は、髪の毛がボサボサだ。
なのに相変わらず整った顔だから、にやりと笑われるとその姿さえも絵になっていてなんだか悔しさを覚える。
だから「服持ってるからいらねえよ」と少し拗ねた口調で言うが何だか彼は上機嫌なようで少しも怯まない。
「ちょうど季節も変わるしいいじゃない。まあ、気分転換にも行こうよ」
(買い物ねえ……)
なんかデートみたいだなって思った。
って、山田は別にそんなこと考えてすらいないだろうけど。
大体、いつも買い物に行く連れと予定が合わないからその代わりに誘われたようなものだろう。
俺は本当に洋服に興味はなかったけれど、山田に付き合うことで少し日頃の恩返しが出来ればとその約束を承諾した。
俺達の間に、初めて出来た次の約束
いつも身体を重ねる日は当日の声掛けだったし。
また次も確定されていることが、何故だか分からないけど少し嬉しく感じた。
(いや、嬉しいってなんだよ……)
ただメンバーと買い物に行くだけの約束。
それだけだ。
「じゃあ、約束ね」
再度確認するように山田が繰り返す。
山田も今、この貴重な約束に同じ事を感じているのだろうか。
彼は起き上がり、俺の額にキスを落とした。
そしてその流れでもう1度俺の上に乗っかるとそのまま後ろから強く抱き締められる。
ふと、こいつと付き合ったら幸せなんだろうな、なんてしょうもないことを考えた。
彼が優しすぎる所為で、俺ですら大切にされていると勘違いしてしまうそうになることだって度々あった。
山田は彼女を作らないのだろうか。
いやでも、出来たら俺との関係は終わりだ。
そしたら俺はどうしたらいい?
なんて、目的はあの日の傷を癒す為だったはずなのに。
なんだか少し不安に駆られたので
「やまだ」
と彼の名前を呟くと
「なに?」
とすぐに優しい声が返ってくる。
俺はそれだけでもとても安心できた。
だから
「なんでもない」
なんていつもの君の真似をして微笑んだ。
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あんこ(プロフ) - 時雨さん» 初めまして!コメントありがとうございます(´;ω;`)そして凄く嬉しいお言葉も……、ありがとうございます!!もうほんと私の性癖(?)でまくりの作品でしたが楽しんで頂けたのならとても嬉しいです!!引き続きよろしくお願い致しますー! (2017年11月16日 8時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。完結おめでとうございます! お疲れ様でした。あんこさんの文体というか、表現の仕方が私的どストライクで、この作品ほんとに大好きです!! 三人の設定もほんとに好きでした……素敵な作品をありがとうございました! (2017年11月14日 0時) (レス) id: dcd1a2d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - ノアさん» コメントありがとうございます(´;ω;`)もっとドキドキして貰えるような展開でいけるよう頑張りますので引き続きよろしくお願い致します!楽しみにして頂けて嬉しい限りです! (2017年10月23日 19時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 更新を楽しみにしてます。まさかの展開にドキドキしてますよ(^ω^)山田さんはどうなるのかな?とか楽しみに待ってます! (2017年10月23日 13時) (レス) id: ec3abc1ac2 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 泡雪さん» コメントありがとうございます(´;ω;`)他作品も読んで頂けたとは、大変嬉しいです!!応援のお言葉ありがとうございます!流れを止めないように頑張りますので引き続きよろしくお願い致します! (2017年10月21日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2017年10月7日 0時