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空に浮かぶ、無数の星空。
「いち、に、さん、し……」
数を数えようと思ったら、
途中でどこまで数えたかわからなくなって、やめた。
「またここに居たの?」
原っぱの上に1人体育座りをし、星空を見上げているとふと声がする。
「…いのちゃん」
振り返ると、そこにはいのちゃんが立っていた。
煌く星達に意識をとられていたから、近づく気配に全く気付かなかった。
呆れたような声を出した君は、ふうと疲れたような息を吐くと俺の横に座り込む。
「だって気に入ったんだもん」
いのちゃんは足を前に投げ出して両手で重心を押さえるようにして、ぐいっと伸びをした。
彼のあからさまに疲れた様子が少し可笑しかった。
いのちゃんにこの場所を教えてもらってから、
此処にくるのは実は3回目だ。
正直、今まで星に自分から興味を持ったことはなかったのだけれど、俺はこの場所が本当に好きになって、惹かれるように足を運んでしまう。
何かを考える訳ではない。
何か目的がある訳でもない。
ただ、今のように時を忘れ、1人ぼーっと星空に包まれるこの夜の時間を俺はとても気に入った。
「いのちゃんも好きなんじゃないの?」
「俺は炊き立ての白米の方が好き」
「ふっ、なんだそれ。そう言って、いのちゃんだって来てるじゃん」
今日は約束などしていない。
此処に来る事も彼に告げていない。
それなのに偶然会ったのだ。
だから、
いのちゃんだって此処が好きなんでしょう?
そう思ったのに。
「ここに来たら、裕翔に会えるような、そんな気がしたから」
「…え?」
予想外の君の返答に息が詰まる。
君の目線は星を捉えていて、上手く表情は読み取れなかった。
此処の景色は、俺が今までで見て来た中で一番だとは思うけれど。
君の顔がよく見えないから場所が悪いと、山道を登らなきゃいけないという事に加えてそう思った。
「…裕翔はこの島のこと、好きになった?」
彼の突然の話題に、少しはっとしながらも俺が最初この島に来る事に否定的だったことを思い出す。
この島に来て3ヶ月。
正直、東京に戻りたいと強く願う事は嘘みたいになくなっていた。
「……うん。好きになったよ。」
見上げた夜空に浮かぶのは、
星ではなくて、島の人達の顔やその景色。
そういえば、この時間には限りがあることを思い出し、何だか胸が痛くなった。
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あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさん!ありがとうございます。゚(゚^∀^゚)゚。時間かかってしまいすみませんでした!是非、ゆといの楽しんで頂けると嬉しいです!! (2018年9月30日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - あんこさん、完結おめでとうございます!遅くなってすみません。まだ最後まで読んでいないのでゆっくり読もうと思います!新作はやまいのですね!やったーー(*´ω`*)嬉しいです。新作の方も楽しみにしてます! (2018年9月30日 0時) (レス) id: 5d6e48b7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!!1番しっとりした作品にするつもりです。見守って頂けますと幸いです。よろしくお願いします! (2018年9月15日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - すごくしっとりしたこのお話の世界観が好きです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 22時) (レス) id: edc3e92603 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 佐々木さん» 佐々木さんコメントありがとうございます(/*´ `)/いやむしろドキドキ初挑戦中です(笑)ytin.....頑張りたい!!!(笑) (2018年7月3日 22時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2018年6月16日 22時