ホシノスナ yt×in

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そして気づけば、もうあれから10年が経った。







君は頭が良かったから大学に行ったのかな

今は就職したのかな





…あの時代では、メールアドレスを交換することはできなくて。

暫く続けていた君との文通も、変わりゆく身の回りの情景に流され、どっちからだったかいつの間にか止まってしまった。




君がまだあの島にいるのかもわからない今。

君と俺を繋ぐものは何もない。









先週末、彼女とプラネタリウムを見に行ってから
どうもまるであの頃のように懐かしい記憶に縋り付いている。







仕事終わり。

いつもより１時間早く終わったことに些細な特別感を感じて、いつもは通らない道を通って帰宅していた。
そこで見つけたのは、引っ越した当初にはなかったはずの小さな雑貨屋。
確か、前は老夫婦が営んでいた古いパン屋さんだったような気がする。
その古びた外観はそのままに、ショーウィンドウには複数の小瓶がお洒落な飾りつけで並んでいた。


(これ…星の砂だ)


つい、記憶の中に残る思い出の品に惹かれ覗き込んでいたら、中の店員さんと目が会ってしまった為、俺は苦笑いを浮かべると、仕方なしにその店に足を踏み入れる。
さすがに小さな店だったこともあり、知らんぷりするのも気まずかったから。


「いらっしゃいませ」


花柄のエプロンを付けた、小柄なおばさんが微笑む。

普段は勿論こういった雑貨屋を自分１人で見ることなんてなかったから、入ったは良いもののどうしていいかわからず、とりあえずゆっくり辺りを見い渡していると、ヒトデに、貝殻、サーフボード…どうやらこの雑貨屋は海にちなんだ商品を扱っているらしいということがわかった。


とりあえず先ほど目に着いたショーウインドウの方へ目を向ければ、どうやらその付近には星の砂が入った様々な形の瓶が置かれたコーナーを見つける。



(嗚呼、懐かしい)



久しぶりに目にした現物に、更に胸が締め付けられる思いがした。

いのちゃんから貰った星の砂は勿論大切にしていたけれど、10年も経った今、どこにしまっていたか忘れてしまった。
俺が一人暮らしを始めたのは大学生の頃で、最初は持ってきていたけれど、何回か引っ越しをした際にどこに入れたかわからなくなってしまっていたのだ。




目を凝らせば、しっかりと星の形を模ったものを見つける事も出来る。



家に帰ったら、今日はいのちゃんから貰った大切な思い出を久しぶりに探してみよう、そう決心して。





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