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あの夜、触れたくても触れられなかった君の手。
あの海で、呆気なく重ねられ、すぐに離れた君の手。
だけど、今、その手は俺の手の中に収まっている。
無意識に、ぎゅっと指先に力が籠った。
「……」
俺たちの間には、こんな状況でも変わらず会話はない。
ドキドキと自分の心音がいのちゃんに届いてしまいそうで、こっそり呼吸を整えた。
でもこんな状況、いのちゃんが困惑しているんじゃないか、
そう手を迷わせた矢先、それを阻止するかのようにいのちゃんの頭がこてんと俺の肩に乗っかった。
温もりは、手だけではなくて、俺の半身全体に広がった。
視線に困って見上げた夜空には、
変わらず幾多の星達が煌いている。
すんと、鼻から吸い込んだ空気は、相変わらず澄んでいた。
「……」
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……俺達は、お互い口にはしなかったものの、
今思えば、お互いのことが好きだったと思う。
それは勿論、恋愛感情という意味で。
……これだけは、この時の俺でも不思議と確信があった。
だけど、この時、今この幸せを満たすには
愛を囁く言葉なんか無くても、
寄り添い合うだけで俺達は十分だったんた。
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「……あのね、裕翔」
こんな時、いつも切欠を作ってくれるのはいのちゃんだった。
そんないのちゃんの方を振り向いてみたけれど、そういえば彼の頭は今俺の肩に乗っかっているので、彼の顔を見ることは出来ない。
「これ、あげる」
「俺とお揃い」と言ってポケットから取り出したのは、小さな小瓶のストラップ。
彼からそれを受け取り、顔の前で覗き込むようにして見ると、どうやらその小瓶の中には、半分を埋め尽くすくらいの砂が入っているようだった。
小瓶を横たえてみれば、中の砂がサラサラと流れ、各々が形を持っていることに気づく。
「踏んだら痛かったやつだ」
「その覚え方やめてよ」
俺の言葉にいのちゃんはケラケラと状況に反した笑いを浮かべた。
彼がくれたのは、この島の名物だと教えてくれた星の砂だ。
この星空と、あの砂浜の記憶。
俺と君を思い出とするにはベストチョイスの品物だと思った。
「…これ見て、またこの島の事、思い出してよ」
寂しそうに、空気に溶けるいのちゃんの声。
いのちゃんと俺の手は、まだしっかりと繋がれていた。
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あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさん！ありがとうございます｡ﾟ(ﾟ＾∀＾ﾟ)ﾟ｡時間かかってしまいすみませんでした！是非、ゆといの楽しんで頂けると嬉しいです！！ (2018年9月30日 12時) (
レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - あんこさん、完結おめでとうございます！遅くなってすみません。まだ最後まで読んでいないのでゆっくり読もうと思います！新作はやまいのですね！やったーー(*´ω｀*)嬉しいです。新作の方も楽しみにしてます！ (2018年9月30日 0時) (レス) id: 5d6e48b7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - めめさん» ありがとうございます！！1番しっとりした作品にするつもりです。見守って頂けますと幸いです。よろしくお願いします！ (2018年9月15日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - すごくしっとりしたこのお話の世界観が好きです。更新頑張ってください！ (2018年9月15日 22時) (レス) id: edc3e92603 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 佐々木さん» 佐々木さんコメントありがとうございます(/*´ `)/いやむしろドキドキ初挑戦中です(笑)ytin.....頑張りたい！！！(笑) (2018年7月3日 22時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんこ
| 作成日時：2018年6月16日 22時
