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「転校生を紹介します」
浮足立つ先生の声とは裏腹に、ぶっきら棒な態度で教室へと入る。
余程 転校生が珍しいのか、一斉に俺に向けられる好奇な視線。
ただでさえ転校に乗る気ではなかった俺は、煽られるように苛立った。
……俺だって、好きでこんなクソ田舎に転校してきたわけじゃない。
ーーーーー
「転校!?」
俺の不満の声に、両親はまるで準備していたように顔を合わせて苦笑し合うと、俺を一気に宥めようとしてくる。
「お父さんの仕事の関係なの。でも、1年だけだから」
「1年なら転校する意味ないじゃん。俺ここに残るよ」
父を1人で生活させるのは心配だからと、母は着いていく事を既に決めてしまったらしい。
研究の仕事をしている父の転勤場所は、遠い小さな島だった。
何処かの島民生活の特集をテレビで見たことがある気がするけれど、イメージするのはとてつもない田舎。
ショッピングセンターもゲーセンもなく、子供たちは皆、自然と戯れるしか娯楽がないのではないのかという偏見。
そんな生活、東京育ちの俺には、考えるだけでも頭がくらくらした。
俺だけ残ると告げれば、勿論高校生の俺を置いていく事なんて更に無理だと断固拒否。
自分の学生という立場が、まだ親にとっては子供という扱いを実感させられてもどかしい気持ちになった。
勿論、ごね続けたところで、親が決定したものに逆らえるわけがなく、
数週間後。
俺は東京を離れ、何時間もかけて、この海に囲まれた陸の孤島に引っ越した。
ーーーーー
この島には、高校は1つしかない。
だから、選ぶ必要もなかった。
そして学年にも1つのクラスだけ。
東京で通っていた学校よりも少しこじんまりした教室に足を踏み入れると、ぎしりと歴史が刻まれた木製の床が軋む音がした。
「初めまして。中島裕翔と言います。」
ぶっきら棒な声になる。
東京の人間だからと気取るつもりはなかったが、たった1年の転校で、友達が出来ようが出来まいがどっちでもいいと思った。
俺は、早くここでの月日が過ぎる事ばかりを考えていた。
「中島くんは、そこの後ろの席…おい!伊野尾!起きろ!……そう、あの寝ている奴の隣で」
島は年寄ばかりだと勝手に思っていたが、如何にも得意科目は体育ですと言うようなジャージ姿の若い男性の担任が声を荒げる。
俺の方を向いて席を説明しながらも、寝ている奴にすかさず喝を入れた。
すると、教室は笑いに包まれる。
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あんこ(プロフ) - ユリアさん» ユリアさん!ありがとうございます。゚(゚^∀^゚)゚。時間かかってしまいすみませんでした!是非、ゆといの楽しんで頂けると嬉しいです!! (2018年9月30日 12時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
ユリア - あんこさん、完結おめでとうございます!遅くなってすみません。まだ最後まで読んでいないのでゆっくり読もうと思います!新作はやまいのですね!やったーー(*´ω`*)嬉しいです。新作の方も楽しみにしてます! (2018年9月30日 0時) (レス) id: 5d6e48b7e5 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - めめさん» ありがとうございます!!1番しっとりした作品にするつもりです。見守って頂けますと幸いです。よろしくお願いします! (2018年9月15日 23時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
めめ(プロフ) - すごくしっとりしたこのお話の世界観が好きです。更新頑張ってください! (2018年9月15日 22時) (レス) id: edc3e92603 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 佐々木さん» 佐々木さんコメントありがとうございます(/*´ `)/いやむしろドキドキ初挑戦中です(笑)ytin.....頑張りたい!!!(笑) (2018年7月3日 22時) (レス) id: 3a4575744a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あんこ | 作成日時:2018年6月16日 22時