谷地さんの姉、彼氏いるってよ。story2【黒尾鉄朗】

拝啓、あの頃の俺へ。 ページ13

拝啓、あの頃の俺へ。








よぉ、元気、してるか？



…なーんて、届かねぇよな。今の俺の言葉なんて。



今から8年前…高校二年の時か。



そん時のお前は、本当に息してねぇみたいだったよな。









一年生、これからの未来を期待して、仲間と共に全国制覇、なんて夢を見た。


だが、現実はそう甘くない。






高校二年生のお前には、いろんなことがあったよな。



クラスで不登校になってた男子生徒が、転校してからこの世から消えてしまったこと。



気づいていたのに、声をかけなかったこと、ずっと後悔してたろ。



自分の存在意義が有耶無耶になって、もういっそ自分も消してしまおうかと悩んでた。








でも、大丈夫。一年後のお前、つまり…今から七年前の俺。



そいつには、守りたいものができるから。



あと一年。頑張って息を繋げよ。









そんで、七年前の俺。




迷子の仔猫ちゃん、初めてあった時はそういう認識だった人間を、お前は精一杯守ることになる。


仔猫を傷つけないように守るのは大変だ。若干の恐怖すら感じるだろ。


そこに気を使いすぎて、物事がうまく進まないことがあるだろうな。


だけど、お前は間違ってない。



そのうち、その恐怖が、仔猫を助ける力になる。









Aが一人で精一杯抱え込んで、




必死に自分の弱さを隠して、




急いで大人になろうとしているのを、





お前には止めてやってほしい。









彼女はしっかり者だから平気だ、と。彼女を一人にしないでほしい。



一見そう見える彼女はまだ不完全だ。



急いで土台を雑に作って、必死にそこで背伸びをしてる。



少し揺れれば、彼女は堕落してしまう。









どうか、そうなる前に。



彼女のそばで、よく見てて。



それでもしもの時は、抱き上げてでも構わない。



ちゃんと助けてやってくれ。









彼女はそのぶん、お前に懐く。変な意味じゃねぇよ、いい意味で。




お前を信頼してくれる。









…まぁここまで頼んどいてなんだけど…




あんまり無理しすぎんなよ。




何かあったらお前も他人を頼れ。




大丈夫、今までの行いで奴らも手を貸してくれるさ。









お前はすごいよ、俺はよく分かってる。

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