貴方と永遠の世界線【文スト】【中原中也】 (ページ3)

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運ばれてくる料理を食べながら、他愛もない話をした。国木田さんの話、梶井の話、姐さんの話…。違和感など無いごく自然な流れ。
ポワソン(魚料理)が運ばれてきたタイミングで、太宰が再び口を開いた。

「却説…そろそろ本題に入ろうかな」

『本題…？』

此処で気がついた。太宰は私たちの会話を自然に操っていたのだ。太宰が何か重要なことを話すかもしれない、と考えていた私と中也に“それ”を質問されないために。

「今この横浜で起きていることについてだよ」

「Aについてもか？」

「そうだよ。安吾に頼んだら調べてくれたよ」

『どんな手を使ったんだか…』

いつものことだが太宰がどんな手を使ったかなどわかりもしない。気にするだけ無駄だと思う。そして太宰は見えぬものと睨み合うように、虚空をじっと見つめながら口を開いた。

「まず一つ、連中の目的はAだということ。そしてもう一つ───────組合は魔人と繋がっているということ」

『組合と魔人が！？』

「刳(えぐ)いな…。そのうち手詰まりになンぞ」

「でもね、組合と魔人は裏で繋がってはいるが直接的な関係は無いのだよ」

「目的は同じだが行動は別…か」

組合と魔人が繋がっている。その言葉を聞いた時、はっきりとした衝撃が頭を殴った。巨大な組織と小さく強大な知略の塊が組めば、大抵はどうにだってできるだろう。

『待ってよ、連中の狙いは兎に角私？』

「そういうこと」

「連中がAばかり狙う理由は」

「それも調べてもらったよ。そこまで詳しくはわからなかったのだけど…ただ確かなことは、Aの異能を狙っているということだけだ」

『このチートみたいな異能をねェ…。使いすぎたら私が死ぬのに』

はあ、と大きくため息をつく。私の異能はまあまあというかかなりチートだが、その分の代償はある。実際体に傷がつくのは余り好まないから異能は使いたくないと思っている。それでも使う時は使うけど。

「Aは絶対に利用させねぇ。こりゃすぐに手を打たねェとな…」

「あ、そういえば。今日探偵社に組合が来てね…。ナオミちゃんを攫っていったんだ───────」

・

No side

ナオミが消えた後、行方を追って谷崎、敦、鏡花は探偵社を飛び出して行った。探偵社の周囲を見渡すが、組合関係者の姿は無い。

「こっちにはいませんでした」

「こっちにもいなかった」

「くそっ、ナオミ、ナオミ！！」