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『うーん…』


もう一度考え直す。いける、なんて思ってた自分が恥ずかしい。絶対にできない話だ。
……私は探偵社を引きずり込む、ということをもう一度考えているのだ。よくよく考えれば難しすぎると思った。また振り出しに私は戻ってしまった。


『はい莫迦!単純に莫迦!うわあん!』


ヤケになって手足をじたばたと動かした。そうしたってどうにもならないけど、こういうときは何となく暴れたくなる。それが人間だ。気が済むまでじたばたしたあとに私は部屋の隅っこにとぼとぼと歩いていき、ちょこんと体育座りで俯いた。


『……莫迦』





No side


まだまだ業務時間の探偵社内で、机のパソコンに向かっている国木田は太宰をちらと見てふと問うた。


「先日の娘、捕虜代わりだと云っていたが…どういうことだ?」

「Aのことだね」

「ああ。それが必要な状況とは考えられん」

「あれは適当な口実だよ。…Aを引き止めるためのね」

「太宰、何故お前はそんなにあの娘に執着する?」


それを聞いた太宰は、ぽかんとして国木田を見つめた。子供のように純粋な瞳で、その問いへの純粋な疑問を持っていた。​
───────何故そんなことを聞く?


「太宰?」

「…組合が欲するとなれば中々の力を持っているということになる。彼女は重要な人間だ」


国木田が再度声をかけた。しかし太宰の瞳はフィルタがかかったように曇っていて見透かすことは出来ない。喋ったあとはいつもの笑みでまたはぐらかす。そんな太宰を横目に国木田はそんなことを考えた。太宰の内面など誰がわかるものか。


「重要な人間…?どういうことだ」

「それはまだわからない」


はあ…と国木田は溜息をつく。そして太宰に仕事をしろと云おうとした、その時だった。


「!?」

「…来たか」

「太宰さん!!道路にヘリコプターが!!」


ブロロ…と大きな音と風が横浜の一角を騒然とさせる。予期せぬ出来事による一般市民の混乱は大きかった。探偵社横の道路にヘリコプターが着陸し、車の行く道を塞いだ。ヘリコプターの起こす風で道路だけでなく一帯に強風が吹き荒れる。歩道を歩いていた市民は慌てふためく。


「どういうことだ…!」

「組合だよ」

「何!?組合はマフィアを狙っているんじゃ」


国木田の言葉を遮って探偵社の扉が開いた。その場にいた全員が扉の方を向いた。気体のはずの空気が、固体になった気がした。


「失礼する」


堂々とした声が響き渡った。

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九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす)(プロフ) - 謝花さん» ありがとうございます!そう言って貰えて嬉しいです!!頑張ります!(泣) (2019年4月9日 22時) (レス) id: a597ec67e5 (このIDを非表示/違反報告)
謝花 - 中也さんカッコいい可愛い!更新頑張って下さい! (2019年4月9日 13時) (レス) id: cfb76e4621 (このIDを非表示/違反報告)
九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす)(プロフ) - 薙(nagi)さん» ありがとうございます…!!!!初めてコメント頂けてうれしいです(泣)がんばります〜!! (2019年3月11日 16時) (レス) id: 382e747ebe (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 凄く好みです、更新頑張って下さい! (2019年3月10日 19時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:九ノ瀬 杏璃栖(ここのせ ありす) | 作成日時:2019年1月4日 18時

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