＊ ページ23
「え？何言って……」
驚いて顔を上げると、二宮くんの瞳に私が映る。
その距離はどんどん縮まって、互いの額がコツンと優しく触れた時、二宮くんは私の手をぎゅっと握って
「目……閉じないの？」
握られた手を振り解くことも出来ずにいる私に、ゆっくりと顔を傾けた。
(あ………)
唇が重なってしまう、その瞬間、
「ただいまー」
「帰ったぞー」
「あ〜暑かった〜」
ぞろぞろと家に上がってくる足音が、私たちの距離を離した。
「あっおっおっ、おかえりなさい…！」
「お、なに？２人で何してたの？」
「こんな真っ暗にしちゃってぇ〜」
松本くんと大野くんが平べったい目で私たちをからかう。
「なーんか、やな感じ〜…」
「や、やな感じって！」
「ふふ…うそうそ」
リビングの電気を付ける大野くんの後ろで櫻井くんは私に微笑みかけると、そのまま自分の部屋に行ってしまった。
櫻井くんとは"あの日"以来ちゃんと顔を合わすことが無かったけど…
今までと変わらない感じで接してくれてるみたいで少し…ホッとした。
「ほーれ、色々買ってきたぞ」
「焼きそばと唐揚げ温めるからちょうだいー」
「あ、イカ焼きもよろしくー」
「めっちゃ買ってきたなお前ら…」
何事もなかったかのように縁側からリビングに戻っていく二宮くん。
さっきのキス未遂？に関して何のフォローもないのか…。ていうかあれは一体…なに？
……まぁ、別に深く考えなくていっか。どうせ二宮くんのことだ。からかってきただけに違いない。
だから私は……
「Aちゃんも早くおいでー」
「あっ、はい！」
何を考えることもなく、このいちご飴を食べるのだ。
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作者名：ミト
| 作成日時：2017年8月10日 18時
