#3 ラブ・クエスト【ars K.N】END. (ページ16)

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Lv28.夜空に瞬く夏の花ページ16

二宮くんから花火大会の情報を得た私は、翌日から凄まじい行動力を発揮していた。

　浴衣を探しに街へ繰り出し、着付けとヘアセットをしてくれる美容院に予約を入れ、花火大会仕様にと新しいメイクコスメを購入。

　今までブラウン系のアイシャドウできていた私は初めて"マンゴーカラー"と"ピーチカラー"とやらを選んでみた。

　目尻にピンクを入れると恋愛運がアップらしい。
　マコが言っていた。

　肝心の浴衣は悩みに悩んだ末、淡いグリーンの生地に牡丹柄があしらわれたレトロな浴衣を購入。

　私の中で相葉くんのイメージカラーは緑だったのだ。

　さぁ、準備も全て整って。あとは大好きな彼を誘うだけ……の、はずだったのに。

＊＊＊＊＊

『えぇ！？断られた！？』
「マコぉ…どうしよぉ～…」

　花火大会当日、私は着付けもヘアセットも完了した状態でマコに電話で嘆いていた。

『それどういう事！？』
「なんかね、相葉くん、毎年一緒に行ってる友達グループが居るみたいで…今日もその人たちと行くんだって」
『んー…でも、Aからの誘いだよ？脈アリげだったしここで断る？』
「うー…」
『ちなみに誘ったのいつ？』
「さっき」
『は！？』
「え？」
『そりゃ断られるよ！』
「…」

　うん、うん。本当は分かってた。
　今少しトボけてみたけど、こんなギリギリで誘うなんて断られるよなって分かってたよ。

　でも。間に合わなかったの。気持ちが。
　誘おうと思ってても、"花火大会"に誘う勇気が出なかったのよ。

　だってもう、花火大会ってったら"特別イベント"でしょ？ただの友達な男女２人が行くような場所では無い。

　誘うには相当な気力が必要なのだ。
　あーあ…二宮くんにこの話をもらった時は相葉くんと行く気満々だったのにな…。