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「ただいま、Aちゃん」
「あっ…おっ…お…」
「勝手に開けちゃった、ごめんね？」
"おかえりなさい"がどうしても口から出ない私に相葉くんはニコっと微笑む。
(何そのスマイル…胸キュンなんですけど…)
いまだ"おかえりなさい"が出て来ないこの口はきっとニヤけているに違いない。
早く声を言葉を発さなければっ…あぁでも…！
ずっと見ていたいそのスマイル…！
「ぷは、」
軽く微笑んでいた相葉くんは表情をさらに崩して笑った。
「じゃあ…ね？おやすみ」
優しい声でそう言うとパタリと扉を閉める。
そこからしばらく私は放心状態だ。
だって、こんなの初めてなんだもん。
相葉くんが帰宅してわざわざ私の部屋に挨拶に来てくれるなんて。
これは"脈アリ"と言ってもいいのだろうか…
「ねぇウタイくん…どう思う？」
無意識に手に抱いていたのは五十嵐ウタイ限定フィギュアだった。
さっきはデートを中断させてごめんね。だけど今、私は恋をしてるの。
キミによく似た、素敵な男の子に……。
「くぅ…」
たまらなくなって、ぎゅっとフィギュアを抱き締める。
「もうっ…なんであんなに素敵なのだっ…」
思わず漏れてしまった心の声。
抱き締めていたフィギュアを体から離し今度はじっと見つめてみる。
「なんだかもう、相葉くんに見えてきたよ…」
自分の言動がいよいよ危ない事には私だって気付いている。だけどもう止められないのだ。
好きで好きで大好きで、四六時中カレのことを考えている。
じゃあ相葉くんのどこが好きなのって聞かれたら、それは詳しく説明できないけれど。
この心臓が、この心が、このハートが、相葉くんに一直線に向かっているのだ。
「はぁ…相葉くー…んん？」
ふと目に入った、五十嵐ウタイの胸元。
「はらら…？」
胸元のざっくり開いたその衣装の隙間から、小さなホクロが見えている。
「ほぉ…なんと細かいところまで…」
それは、海とプールでしか見れない五十嵐ウタイの隠れたチャームポイントだった。
「このホクロを見たいがために何度プールに誘ったことか…」
と、これまでのウタイくんとのデートを脳内で再生。そのうち、私はある疑問へと辿り着く。
それは………
【Ｑ.相葉雅紀の胸元にはホクロが存在するのか？】だ。
「うーん…考えろ…考えろ………あ！」
【Ａ.確かめてみよう】
「そうか！実際に見せてもらえばいいんだ！」
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作者名：水兎
| 作成日時：2017年7月11日 16時
