#2 ラブ・クエスト【ars K.N】 (ページ20)

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Lv.17恋のスパイスページ20

"そうだ、ケーキを作ろう。"

　そう思い立ったのは昨日マコと行った料理教室の帰り道だった。

　女子力を上げるためお料理教室なんぞに足を運んでみたが、これが意外と楽しくて。

　是非とも大好きな相葉くんの為に何かを作ってあげたいと心が騒ぎだしたのだ。

　そして昨日選択したのはお菓子コース。
　お料理ではない。
　だから、今日作ってあげるのはデコレーションケーキなのである。

「んーっと、薄力粉とお砂糖とー…」

　買い物袋から材料を取り出し、教室から持って帰ってきたレシピと照らし合わせる

「よし、買い忘れなし」

　と、意気込んだのも束の間。
　一つ足りないものがある事に気が付いた。
　それは…

「あれ…この家って"計り"なかったっけ…」

　材料を計量するための道具だ。
　あれが無ければ何も進まない。ということはもう、買いに行くしかないのだ。……が、

「面倒くさいな………」

　ここで私のダメな部分が出てしまった。何事にもまず面倒くさいと感じてしまうこの思考。

　最近はそれもマシになっていたけども、「計りを買いに行く」というのはなかなか気力体力が必要だ。しかもこの家の近くにはコンビニくらいしかない。

　買いに行くとしたら電車に乗ることが必須となってくる。それはますます…面倒くさい。

　でもこれは相葉くんの為に作るケーキ。そんな事を言ってる場合じゃない事くらい分かっている。
　だから私は…

「確か薄力粉はこれくらいだったはず」

　頭をフル回転させ、昨日の記憶を呼び戻すことにした。
　"分量が少し違ったくらいで味は変わらない"そんな自信があったのだ。

「で、お砂糖がこれくらい。バターは…こんなもんかな？よし、整った！」

　全ての材料を計り終えた(目分量)私はレシピに書いてある工程通りにケーキ作りを始めた。

　昨日の今日だからか頭よりも身体の方が覚えていて、自分で言うのもなんだが、ホイッパーやゴムベラを使いこなしているこの姿はきっと「惚れてまうやろー！」状態だと思う。

　今度は相葉くんが家に居る時に作ろうかな…。