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「どっちが先に向こうに着けるか競争ね？」
２レーン用意されたこのターザンロープで勝負を挑んできた相葉くんはロープにしがみ付くとカウントを掛けた
「３、２…」
「あわわわ！待って待ってー！」
「１っ…」
ひゅーん！と滑空していく相葉くん。それに１秒ほどの差であとを追う私。
あぁ…なんて気持ちがいいのだろう。まるで本当に空を飛んでいる気分だ。
相葉くんなんて身体を後ろに反って空に向かって何かを叫んでいる
「気持ちいいー！」
風を斬る相葉くんの額からキラキラと空に舞っていく数滴の汗。
さ、爽やかすぎる…！これはスチルにして永久保存しておきたいやつ…！
「ふふふ…俺の勝ちだね！」
一足先にゴールした相葉くんは私に向かって"へへん！"と得意げな顔を見せた。
「相葉くんのカウントが早かったんですよ！私まだ準備できてなかったのにー！」
「あ、そうだった？ごめんごめん！」
あぁ、なんて楽しい時間なのだろう。このまま一生ここで遊び続けていたい…。
「…ん？雨？」
「え…？わ、ホントだっ」
晴れ渡る空からぽつぽつと降り始めた雨。
それは１分もしないうちに勢いを増して、容赦なく私たちの身体を濡らしていく。
「Aちゃん、こっち」
私の手を引いた相葉くんは木陰まで移動して
「通り雨っぽいね」
私の身体を雨から庇ってくれた。
「じゃ、じゃあすぐ止みますよね…」
予想もしていなかったこの壁ドンならぬ"木ドン"に、私の肩はきゅうっとすくむ。
ちらっと視線を相葉くんに向けてみたら、その濡れた前髪の隙間から温かい色をした瞳と目が合って…
「相葉…くん…」
これは、キスのチャンスだと思った。
少し前に背伸びをすれば唇が触れられそうなこの距離…。今までの練習の成果を、と私はゆっくり目を閉じた。
相葉くんが私に唇を近付けてきていることを信じて………
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作者名：水兎
| 作成日時：2017年7月11日 16時
