#2 ラブ・クエスト【ars K.N】 (ページ16)

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「おーい」
「はっ…相葉くん？どこ？どこどこー？」

　色々と考えている間に見失ってしまった推しの姿。キョロキョロと辺りを見回してみると、

「ここだよー！」

　空から相葉くんの声が聞こえてきた

「相葉くん…！」

　顔を上げるとそこには遊具の上から手を振る相葉くんが居て、私に向かって手を振っている。

(ス、スーパーアイドルかよ…！)

　あまりの眩しさに私は両手を空に掲げ、顔をそむけた。

(くぅ～…眩しすぎるっ…)

「おーい？」

(アリーナかここはっ…)

「Aちゃーん…？」

(どうにかファンサをいただけないものか…)

　そんな欲が出てきた私は、そむけていた顔を再び上げて相葉くんに向かって叫ぶ。

「相葉くんっ…指さしてー！」
「ゆ、指？」
「お願いしますっ！」

　まるで"指さしてウチワ"を推しに向かって振っているような動きを見せていた私に、相葉くんは困りながらも一度だけ指をさしてくれた。

(っ…！)

　一瞬にして砕ける自分の腰。もう立ってはいられない。これは夢か現実か…幸せすぎる…！

「ねー先行くよー？」
「え…！あ！待ってー！」

　だめだめ。ここはアリーナではない。
　アスレチックなのだ。

　…と、自分に言い聞かせながら遊具を登り切ろうとしたその時

「ほら、おいで」

　上から手を差し伸ばしてくれた相葉くん

「あ…はい…」

　その手に自分の手を重ねると、ぐっと私の身体を引き上げてくれた。

「Aちゃんはこれ平気？ターザンロープ」
「…」
「あ、無理だった？」
「…」
「Aちゃん？」
「…はっ！えっと、平気です！やりまりょうやりましょう！」

　嘘だ。全然平気ではない。
　いや、ターザンロープは平気だ。
　むしろ大好物だ。

　平気じゃないのは私の心臓、心、ハート。
　手が、手がジンジンしている…

　どうしてだろう…お姫様抱っこよりもドキドキするこの感じ。
　あの時はあれかな、意識が薄かったからかな？

　頭も腰も打っていない今、私は相葉くんの肌の感触をハッキリと感じることが出来るのだ。