#2 ラブ・クエスト【ars K.N】 (ページ1)

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Lv13.もしもの世界… -NINO- ページ1

俺の休日の過ごし方は決まって同じだった。

　いつもより少し長めに睡眠を取り、朝食だか昼食だか分からない微妙な時間にメシを食う。

　メシを食ったら、また部屋に戻って据置型のゲーム機を起動。そしてその時の気分でゲームソフトを選ぶ。

　もう、ここからは基本部屋にこもりっぱなしで。晩飯の時間まで俺はゲームの世界に入り込むんだ。

＊＊＊＊

「あのー…失礼いたしますー…」

　こそっと扉を開けてきたのはこの家に住む唯一の女だった。

　だけど、その扉の隙間から顔を覗かせたまま全然部屋の中に入ってこようとしない。

　ただただ感じる真っ直ぐな視線に気持ち悪くなった俺はゲーム画面から目を離した。

「…なんだよ」

　そこに居る女…Aに睨みを利かせると彼女は扉をさらに大きく開いて、もじもじと俺の様子を伺いながら部屋の中に足を踏み入れる。

「やー…なんかゲームの音が聞こえたのでぇ…」

　その表情は嬉しそうだった。

「音がしたから何」
「どんなゲームしてるのかなーって」
「気になったの」
「うんー…えへへ」

　頭をポリポリ掻きながらAはどんどん部屋の中へと入ってきて、

「はっ！これは先月発売されたばかりの…！」

　興奮気味にこのゲームソフトの名前を答えた。

「これ気になってたんだよね～…」

　女の子がここまでこのゲームに反応するのは珍しい。だってこれ、ゾンビゲームよ？
　目を塞いで怖がるのが女の子じゃないのか。

「…やってみる？」

　あまりに興味津々なAに、俺はコントローラを差し出した。けど、

「いや、大丈夫！」

　Aはびしっと手の平を俺につき出し、ハッキリと断った。

　そして部屋を出て行ったその数十秒後には両手にお菓子とジュースを抱えたAがまた現れた。