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冬組の旗揚げ公演の内容は、人間に恋した天使の話で、ミカエル役の繊細な表現がシリアスな雰囲気をよりいっそう濃くしている。
『人間の女を助けたい?へえ、お堅いミカエルが大胆なことを考えるんだな。それなら人間界に降りればいい』
少し高くも男性的であの夜にも聞いた声がスピーカーを通して聞こえる。
天使の姿となった彼はなんとも博識で聡明で何もかもを見通しているようだ。
自分の心情も読み取られてしまいそうな気さえもする。
Aはメタトロンを演じる誉に釘付けになっていた。
公演が終わり、照明が明るくなった時に現実に引き戻される感覚がした。
どこかふわついた様子で帰り、暫く余韻に浸っていた。益々有栖川誉に惹き込まれていき、ファンになってしまっていた。
そこから手紙を書き、寮の前に控えめに置き始めたは春組第二回公演をやっている時期だった。
*
自分が手紙を送り始めた時の事を思い出しているともうすっかり日付が変わってしまっていて、Aは慌てて電気を消し、ベッドに潜って眠りについた。
朝になるのがこんなにも待ち遠しいと感じたのは久方ぶりだと、暗闇の中で少し微笑んだ。
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作者名:まそたろう | 作成日時:2017年10月7日 1時