【A3!】昼下がりのソネット【有栖川誉】 (ページ3)

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「ええ～！？ありりんが恋！？」

「ちょ、カズくん！声が大きいッス！」

寮の談話室で驚いた様子の三好一成の声が響き渡り、太一がそれを必死に抑える。
その様子に一成はわ、ごめん、と謝罪した。

「誉さん、白い封筒の手紙を見て嬉しそうにしてたんスよ～！俺っちの早とちりかもしんないけど、あれは絶対恋してるッス！」

「えぇ、マジ？それ絶対恋してるやつじゃん！」

2人で声を潜め、コソコソと話している様子は異様だった。近くを通った中性的な容姿の瑠璃川幸はそれを怪訝な目をして見ていた。

「ちょっと、アンタ達。なにしてんの？」

幸は見てられない、といった様子で2人に話しかける。

「ああ、ゆ、幸チャン！これは……」
「ありりんが恋してるんじゃね？って話！」

太一は、ちょっと、とあっさりと話していたことを明かした一成に抗議をした。

幸の目は怪訝な目から呆れたような目に変わりなんだそういうことか、と呟いた。

「それなら同室の密に聞けばいいんじゃないの？」
そう意見を述べた後、幸は「じゃ、俺は衣装作りに忙しいから」と飲み物を入れたコップを持って自室に戻って行った。

「密さんに聞いてみるしかないッスかね？」
「だねー。とりま、ヒソヒソに聞こう」

一成と太一__もとい、ワンワンコンビは最近の有栖川誉の様子の理由を知るために足を動かした。

＊

「……ありすのこと？」

晩御飯も食べ終わり、少し一息つくといったところでワンワンコンビは誉と密の部屋を尋ねた。
御影密は最近茅ヶ崎至に貰ったペンギンのぬいぐるみ(ペンペンというらしい)を抱き、尋ねられた内容に首を傾げた。

「そうそう！最近、ありりん白い封筒持って嬉しそうにしてたから。同室のヒソヒソなら何か知ってそうだなと！」

「誉さん恋してるんスか！？」

密は二人の話を聞き、少し考え込んだ様子で俯いた。

「この反応は……もしかして……」

「え、ガチ？ガチなの？！ヒソヒソ！」

ワンワンコンビが盛り上がる中、密は返事をしない。2人は密のそんな様子に更に盛り上がっていると

「……ぐぅ」

と密が寝息を立てだし、2人は思わず重心を前に傾け転びそうになった。
睫毛が伏せられて若葉色の瞳を隠した。
もうこれは彼の好きなマシュマロがないと駄目そうだ、と諦める。

「あちゃ～寝ちゃったか」

一成と太一は残念そうに苦笑した。

謎は深まるばかりであった。