今日も私は黄昏れる【誰ソ彼ホテル】 (ページ47)

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氷麗―47― ページ47

音「……ん？あれって……」

音子がルービックキューブを手に取る

いつの間にカウンターにあったのかしら

音「これって瑪瑙さんのですか？」

瑪「違うわ。先ほどの方のでしょうね」

音「そうですか……A先輩はこういうの得意ですか？」

『そういえば一時期流行っていたけど、ルービックキューブはやったことないわね』

音「大外さん、これ解けます？」

大「ルービックキューブか……こんなの暇つぶしにもならないよ」

音子が大外にルービックキューブを渡すと、ガチャガチャといじり始める

音「一面だけじゃなくって、全面ですよ？」

大「はい出来た」

『あら、結構器用なのね』

大「パターンを覚えれば簡単さ。あ……開いた」

ルービックキューブの中から何か出てくる

音「えっと……手紙と写真です」

『女性と赤ん坊……』

音「えーと、"オーシャンビューホテル209号室で待ってます。京子"」

大「おっと……これはこれは」

私と音子は顔を見合わせる

音「……どうしましょう、A先輩」

『……とにかく、誤解を解きに行かないといけないわね』

音「私のせいです……一緒に行きます」

『いいわよ、私の担当だし』

音「でも、私も片足突っ込んでるようなもんですし……お供させてください」

『分かったわ。行きましょう』

私たちは再びカップルの部屋に来た

扉をノックする

『少しよろしいでしょうか？』

キョ「女給さん!?助けて!!徹さんが……徹さんが!!」

再び音子と顔を見合わせる

そして急いでスペアキーを使って、客室へ飛び込んだ

『いかがされまし……た？』

中に入ると、異様な光景を目の当たりにした

徹「く、来るな～！」

徹様がバルコニーの手すりの上で四つん這いになっている

音「何がどうなってるんですか？」

キョ「徹さんが……」

徹「キョーコちゃんが別れるって言うなら、死んでやる！」

音「何、言ってるんですか！」

徹「言っただろう!?キョーコちゃんのいない人生に意味なんかない！」

たしかに覚悟見せろとは言ったけど……まさかこうなるとは思っていなかった

本当に面倒な男ね

本来ならここは2階だけど、この客室の窓の外は海

骨折じゃ済まないだろう

音「バルコニーの下って、どうなってます？」

キョ「崖よ！断崖絶壁！」

『落ちたら即死ね』