今日も私は黄昏れる【誰ソ彼ホテル】 (ページ43)

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氷麗―43― ページ43

阿「俺って……そんなイメージ？」

『ふふふ、間違ってないわよ』

阿「いやいや、誤解だって」

音「見た目のイメージの話ですよ」

阿「でも、そっか……そうだよね……そうなんだよなぁ……」

音「大丈夫ですか？"そう"の3段活用みたいになってますけど」

『はるってば、昔から長く付き合えないくせに、女の子が寄ってくるから関係持っちゃうのよ。どうせ今でも変わってないんでしょ？』

阿「……Aちゃんだって、好きになるのはダメ男ばかりで長続きしなかっただろ？」

音「え、そうなんですか？めちゃくちゃ意外です」

『付き合ってみるといろいろ悪いところが見えてきて、それが目立って耐えられなくなるのよ』

音「どんな男性だったんですか？」

『そうね……常に携帯を見ている人だったり、くちゃくちゃ言いながら食べる人だったり、他人に乱暴な言葉を使う人だったり……第一印象は良くても、中身を開けたらクズだったわね』

音「へぇ……」

『音子は悪い人に付いていかないように気をつけなさい？』

音「肝に銘じておきます。生きてたら」

＊

Aside

『……遅い』

音「遅いですね」

交代の時間になっても支配人が来ない

私が当番のときに遅刻するなんて、いい度胸してるわ

『音子、私の代わりにカップルの様子見てきてくれない？私も後ですぐに行くから。支配人は私が懲らしめておくわ』

音「わ、分かりました;;(支配人……ご愁傷様です)」

音子を行かせてからしばらくして、慌てた支配人がフロントにやって来た

支「いっけなぁい、遅刻！遅刻！ﾋｯ!?」

仁王立ちの私を見て、支配人は小さな悲鳴を上げた

『20分の遅刻よ』

支「ご、ごめんなさい！;;」

『殴らないと気がすまないんだけど』

支「許してください～;;」

それからくどいほど支配人に文句を言う

支配人の炎は青くなり、終始正座で反省してもらう

『次遅刻したら……分かってるわね？』

支「は、はい！;;」

『じゃぁ、私次の仕事あるから』

支「何するの？」

『さっきのカップルの様子を見に行くのよ』

支「気をつけてね」

『何を気をつけるのよ』

支「あのカップル……たぶん想像している以上に厄介だよ」

『何か知ってるわけ？』

支「いいや？経験則だよ。僕が何年ここでホテルを経営していると思ってんの！」

『何年やってるのよ』

支「えーっと……何年だっけ？」

私はもう一度拳を支配人の前に掲げる