氷麗―40― ページ40
音子side
大「なんだ、今日は塚原さんか」
食堂で給仕をしていると、大外さんがやって来た
音「私で悪かったですね」
大「まぁいい、コーヒーと食事を」
音「かしこまりました」
頼まれたメニューを大外さんのいる席まで運ぶ
サラダとスープにパン、そして鶏のささ身だ
音「健康的なメニューですね」
大「食事には気を使ってるんだ。食べるって事は人間にとって重要な事なんだよ?」
『医者見習いも伊達じゃないわね』
すると、そこにA先輩がやって来た
そういえば、A先輩は新しいお客様の相手をしていると聞いたけど……
音「新しいお客様、どうでした?」
A先輩は苦い顔をした後、奥の席を見つめた
つられて目線の先を追う
『結婚目前のラブラブカップルよ』
音「うわぁ……」
遠目で見ただけで分かる甘い空気
先輩が苦い顔をするのも分かる
『ねぇ、運命の人って信じる?』
音「運命の人?」
大「運命の人ね……信じるよ」
音「へー、意外!女を暴行する人が、そういう事を信じますかね?」
大「僕だって信じてなかったよ。……つい最近まではね」
『最近まで?』
大「僕も、そういう人に出会ってしまったんだ」
そう言って大外さんは、はにかんだ。無防備な微笑だ
きっと、その運命の人とやらを思い返しているのだろう。気になる
音「どんな人ですか?」
大「なんで君に教えなきゃいけないんだ」
音「ケチですね」
大「ケチで結構」
『そもそも、あなたの犯罪の動機ってなんだったわけ?』
大「性_欲以外に何があるって言うんだい?」
音「そんなもんか……」
大「そんなもんだよ、男って言うのは」
音「でも、A先輩は犯_さなかったんですよね?」
大「前にも言っただろう?気の強い女性は対象にはならない」
そういえば、大外さんはなぜA先輩を襲ったのだろう
本人の前で聞いてもいいのかな?
気になるけど……とりあえず保留にしておこう
音「犯罪に手を染めたきっかけってなんなんですか?」
大「ありきたりだけれど、ストレスだよ」
音「ストレス?」
80人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みかん | 作成日時:2019年2月5日 16時