氷麗―34― ページ34
次の日も、次の日も、次の日も
勇気は私の後ろを付いてきていた
何も支障はないとはいえ、精神的疲労が溜まる
『いい加減、私に付いて来るのやめてほしいんだけど』
勇「でも、氷麗様が危ないです」
またこれだ
何が危ないんだって聞いても、読書の人だと言うだけ(たぶん大外のことだと思う)
私が付いて来るなと言っても言う事を聞かない
面倒なことに巻き込まれたわね……
『勇気、部屋の探索をさせて』
勇「え、どうして……」
『記憶を取り戻さないと何も解決しないからよ』
勇「でも、僕はこの生活が気に入っています……」
『そうは言っても、もし現世で生きているのにここで長居して手遅れになったらどうするのよ』
勇「分かりました……じゃぁ、明日でもいいですか?」
『えぇ、いいわよ』
そう言うと、あれほどくっついてた勇気は自室へと戻って行った
どういうことか分からないけど、私は久しぶりに解放された気がして清々しかった
できれば子供に強い言葉は言いたくはない
ここは手っ取り早く記憶を取り戻してあげて、現世かあの世に送ってあげるのが先決
*
一日の仕事を終え、私は夕飯を食べ終わった後、部屋に戻ろうとした時だった
『っ!?』
いきなり口元を押さえられ、体を無理やり引き寄せられる
何事かと思い引っ張った相手を上目で見ると、犯人は大外だった
『〜〜〜〜〜!!』
大「しーっ」
放せと暴れるが、大外は静かにするようにと人差し指を鼻に当てた
その後、キョロキョロと何かを探しているような姿の勇気が通り過ぎた
私はそれを見て、少しだけ冷静になる
勇気の手にはナイフが握られていた
大「Aさんを探しているんだよ」
『どういうことよ……』
口元の手が退き、小さな声で言う
大「手が震えているね、怖いのかい?」
『……うるさいわね、誰のせいよ』
虚勢を張るが、体の震えが止まらない
額に汗が滲む
ナイフの……あの鋭い刃を見ると……刺された時の恐怖心が蘇る
本当に嘆かわしい
大「きっと彼は僕を殺したいんだよ」
『勇気があなたを?』
大「以前、彼が僕のところに来てね。Aさんのことをどう思っているかって聞いてきたんだよ。だから正直に答えてあげたさ」
『それとこれと、何が関係あるって言うのよ』
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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月5日 16時