氷麗―21― ページ21
パ「それは面白い。つまり臨死体験って事か。あの世とこの世の狭間というものは、てっきり三途の川かと思っていたけど……まさかホテルだとはね……」
音「そうですよね。私も最初はびっくりしました」
この人……自分の境遇を面白がってる?
部屋についた私たちは、支配人から受け取った鍵を使って扉を開ける
部屋の第一印象は、"頭良さそうな奴の部屋"だった
漠然とはしている。しかし、ギャンブラーだった安藤さんの部屋の様には汚くない
壁には落ち着いた雰囲気の絵が何枚も飾られ、部屋のいたる所に分厚い本が積まれていた
パ「いい部屋じゃないか。僕好みだ」
音「宿泊されるお客様によって、お部屋のレイアウトが変わるんです」
パ「どういう事だい?」
音「はい。このホテルの客室は、お客様の記憶に……えーと……記憶にまつわるものによって形成されます」
私はおぼつかない口調で説明した
パ「だとすれば、僕好みの部屋になるのは当然という事だね」
音「そういう事になります。そしてこの部屋にある物を調べる事によって、お客様にご自身が何者か記憶を取り戻していただければと……」
パ「なるほど、しかし何から調べればいいのか検討もつかないな」
音「でしたら、私もお手伝いさせていただきます!」
パ「いいのかい?」
音「お客様の記憶を取り戻すお手伝いをするのも、私たち従業員の仕事なんです。勿論、プライバシーを優先したいとおっしゃる場合は……」
パ「いやいや、大丈夫!せっかくだから手伝って貰いたいな」
音「かしこまりました」
よし、お部屋を調べていこう!探索開始だ!
*
『あ!音子ぉ!ちょっとこっち来なさいよぉ!』
音「うわぁ……」
あれからパンジー頭こと、大外さんの部屋を探索し終わり、彼が食堂でコーヒーを飲むと言うので手持ち無沙汰となった私はバーにやって来ていた
そしたらなんと……A先輩が酔っぱらいになっていた
有給をもらうと言っていたから、何をしているのかと思えば……
『ねぇ、新しいお客どうだったのぉ?』
音「なんかインテリっぽい知的そうな人でしたよ。探偵らしいです」
『なにそれ、胡散くさぁ』
音「それもすごいんですよ、被害者リストって言って女性が襲われた写真がたくさん載っているアルバムがあったんです。それも刃物で切りつけられたような写真ばかり……もしかしたら、Aさんを襲った犯人のことも知ってるかもしれませんよ?」
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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月5日 16時