氷麗―1― ページ1
Aside
『支配人、暇』
支「暇だね〜」
私は動きづらいメイド服を着せられ、モップの枝に顎を乗せて項垂れる
今日もここ、生死の狭間にある黄昏ホテルに客は来ない
瑪瑙さんはバーに引きこもりだし、ルリちゃんは厨房担当だし、
『支配人は甲斐性ないし……』
支「えぇ!?暁さんいきなり僕のこといじめないでよぉ」
『事実じゃない』
支「お願いだから真顔で言わないで!!僕豆腐メンタルなんだから!!」
何回似たような茶番を繰り返したことか
いい加減気が狂う
支「あ、203号室のお客様の相手してきたら?」
『あのギャンブラーの相手は面倒なので嫌』
支「我侭だなぁ……ヒッ!?ごめんなさい!!;;」
支配人をジロリと睨むと、それ以上何も言わなくなった
そろそろ支配人を弄るのも飽きてきた、何か新しいことが起きないものか
そんなことを一日中景色の変わらない黄昏時の空を見ながら耽る
?「あの……」
玄関から声がして振り向くと、スラリと背の高い……
『……サックス?』
そう、サックス頭の人が立っていた
支「ようこそ黄昏ホテルへ。ここは、あの世とこの世の狭間に……?「ち、近寄るな!」
『え』
?「ここはどこなんだ!?歩いても歩いても何もないかと思えば、いきなり建物が現れるし……化け物はいるし、一体なんなんだよ!!」
『ぶふっ』
ついこのサックス頭が支配人のことを化け物呼ばわりするから笑ってしまった
無理もない、いきなり果てしない地平線に放り出されたかと思えば、目の前に頭が燃えている巨体が現れたんだ
冷静に分析しろと言う方が酷だ
支「お、お客様、落ち着いてください;;私はあなたに危害は加えません;;」
?「こんな訳の分からない状況で信用できるわけないだろ……!!俺を騙しているなら、警察に訴えるぞ!!」
サックス頭はあーだこーだと暴れまわる
さすがにイラついてきてしまった
『ちょっと!!』
?「だ、誰だ」
支「暁さん;;お客様なんだから丁重に……;;」
『さっきから文句ばっかり!!少しは順応性高めなさいよ!!』
私は支配人の言葉を無視してサックス頭に言い放った
__________
主人公
暁 A
23歳
支配人曰く、気が強くて怒らせると怖い
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作者名:みかん | 作成日時:2019年2月5日 16時