108 ページ17
「ごめんね、リーマス。もう大丈夫。」
どれだけそうしていただろうか。ようやく涙も止まり冷静になったAは慌ててリーマスから身体を離した。いくら気が動転していたからとはいえ胸を借りるなんて......もしも私が屋敷しもべ妖精であったのなら間違いなく今ここで地面に頭を打ち付けて自分を罰しただろう。
「リーラ、ここ怪我してるよ。」
そんな事を考えながら顔を上げたAの頬から血が出ているのを見てリーマスが自分の頬を指した。きっとシリウスと掴み合いになった時に怪我したのだろう。慌てて傷口に触れようとすると''ダメ！''とリーマスの手がそれを止めた。
「医務室に行こう。午後のテストは.......大丈夫、まだ少し時間があるから。」
「一人で行けるから大丈夫よ、貴方は戻ってて。私はいいから。」
1人で医務室に向かおうとしたAの腕がしっかりと掴まれた。予想外の行動に驚くAにリーマスは言う。
「大丈夫じゃないって顔に書いてあるよ。」
心を読まれたのか、それとも本当に情けない顔をしていたのか。程なくして、翠色に映る自分の姿に後者だと気付いた。泣きはらした目と汚れてボサボサになった髪と血の滴る頬。その全てが余りにも滑稽で、何だか笑いが出てきた。
「午後からの試験の予習はいいの？」
「午後からの試験が魔法薬学の実技だったら君をここに置き去りにして帰っただろうけど.......。」
そう言って肩を竦めたリーマスに思わず笑いがこぼれる。
「良かった。笑ってくれた。」
ああ、元気づけようとしてくれていたのか。気を遣わせてしまったことを申し訳なく思いつつ、Aはリーマスの髪をぐしゃぐしゃに撫で回した。''やめてよ''なんて言いながらも嬉しそうな顔をしてくれるので余計に撫で回す手が止まらない。
「ありがとね、リーマス。」
ぐしゃぐしゃになった髪を必死に撫でつけるリーマスを笑いつつ、Aは医務室へと向かった。
「あっ、ちょっと待ってよリーラ、」
リーマスは慌ててそんなAを追いかけて、追いついたと思えば折角撫でつけた髪を再びぐしゃぐしゃにされる。流石に3回目になると怒りたくもなったが先程まで泣いていたAが楽しそうなのを見て、結局何も言えずされるがままになったのだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 119人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夢しずく - usagiさん» お返事ありがとうございます！いえいえ、この作品に最後まで付き合わない人が居ますか？いいえ居ません← もちろん読みにきますよ！それに4時間以上の価値があったのでお気になさらず。これからも頑張ってくださいね (2020年4月9日 16時) (
レス) id: 626b9c2144 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 夢しずくさん» 夢しずく様、はじめまして。そう言っていただけて凄く嬉しいです！それに、貴重な4時間をこの作品のために.......！本当にありがとうございます！是非、最後まで御付き合いよろしくお願い致します＊ (2020年4月9日 15時) (レス) id: 738c4a8002 (このIDを非表示/違反報告)
夢しずく - はじめまして、こんにちは。とっても面白いお話です……！リーマスが可愛すぎてヤバいです！あなたの文才を分けてください……。 あ、面白かったので4時間くらいかけて最初から最後まで読みましたww 更新頑張ってください！！ (2020年4月9日 3時) (レス) id: 626b9c2144 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - いっちゃんさん» そんな！嬉しいです、ありがとうございます。是非、ボードの方で語りましょう。 (2020年4月8日 15時) (レス) id: 738c4a8002 (このIDを非表示/違反報告)
いっちゃん(プロフ) - usagiさん» 私もusagi様の物語がどれも文才で魅力がありすぎて素晴らしい作品だと思います。これからもusagi様とハリポタについて語りたいです。笑 (2020年4月7日 23時) (レス) id: 5135df06ca (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2020年3月26日 10時
