1 ページ1
私は隣ですやすやと
寝息を立てる彼の額に唇を落とすと
そっとベッドから抜け出した
もう、彼の前に姿を現すことは無い
これで本当に最後だ
棚を開いて中から取り出した杖
それを震える腕で握りしめて
愛おしい彼に向ける
「愛してる、リーマス」
もう彼の心は操りたくない
だとすれば、今の私に出来ることは
彼が思い出さないように
その記憶を消すことだけ
「オブリビエ…「エクスペリアームス！」
突然起き上がった彼と
手から飛ばされる杖と、
呆気に取られて言葉が出ない私
「……させないよ。
私は君のことなら、なんでも知ってるんだ。」
このくらい予想済みさ、と彼は
まだ焦点の合わないその目で私を見た
まさか、寝起きでここまで動けるとは＿＿
「記憶を消して、どうするつもりだったんだい？」
「どうって、別に……」
「別に？」
「ごめんなさい」
「君は本当に自分勝手だよ。」
彼は困ったように眉を下げると
ベッドを抜け出しこちらへ歩いてきた
罰が悪くて思わずそんな彼から目を逸らす
「記憶を消したからって、
今までの時間が無かったことに
なる訳じゃあ、ない。」
「貴方の記憶から私が消えればそれでいいの」
「そういう問題じゃない。」
「そういう問題なの！」
意味が分からない、と
彼は顔を顰め溜息を漏らした
そういう、問題なのだ
何としてでも
彼にはトンクスと幸せになって
貰わなくてはならない
''あーあ、そんな男さっさと
喰っちまえばいいのに''
「.......っ、」
「A？！！」
「来ないで！！！！」
ガンガンと痛み始める頭と
脳内に響く誰かの声と＿＿＿
''さっさと喰っちまいなよ、
本当は死にたくなんかないくせにさ''
五月蝿い、
''なんだかんだ理由つけて
結局自分守ってるだけじゃん''
五月蝿い、
''あの男だってね、今だけだよ
お前が死ねばすぐに
お前のことなんか忘れて
別の女と幸せになるよ''
五月蝿い、
''子供なんか作っちゃったりしてさ''
「黙れ！！！！！！！」
そう、叫んだと同時に
身体中が焼けるように熱くなる
嫌な汗が身体中の毛穴という毛穴から噴き出して
意識がどんどん遠のいていく
''次に目を覚ましたらさ
あんたが見るのは愛しい彼の亡骸かもね"
意識を手放す寸前
最後に聞いたのは、
悪戯に笑うもう1人の私の声だった＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 69人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usagi(プロフ) - 黒雷さん» そう言って頂けて、作者は嬉しい限りです。最後まで御付き合い下さり本当に有難う御座いました！ (2020年2月22日 18時) (
レス) id: a60327fc69 (このIDを非表示/違反報告)
黒雷(プロフ) - 物語の最初からイッキ見させて頂きました。ストーリーの長さも丁度よく、とても面白かったです。物語の後半になるにつれて私のよわよわな涙腺が崩壊しましたTT本当にいい作品でした。 (2020年2月22日 16時) (レス) id: ee55560686 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 弐七さん» 最後まで御付き合い頂き本当に有難う御座いました！いえ、こちらの作品で使用しているイラストは私が描いたものではなく、Picrewのlococoで作成したものになります：) (2019年12月16日 17時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - Emmasakuraさん» 最後まで御付き合い頂き本当に有難う御座いました！2人のその後、ぜひ書かせて頂きます：) (2019年12月16日 17時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - no nonさん» 最後まで御付き合い頂き有難う御座いました！！2人のその後、いいですね！ぜひ書かせて頂きます*゜ (2019年12月16日 17時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2019年12月8日 11時
