8 ページ8
「リーマス！」
ご本人登場だ、と後ろを振り向けば
そんな私の横をすり抜けた彼女が
凄い勢いでルーピンの胸に飛びついた
飛びつかれたルーピンも
嬉しそうにその華奢な身体に腕を回し
その頭を撫でていて、
「なんでもないよ、君が天然タラシだという
話をしていただけだ。」
「なんだい？その、天然タラシって…」
「君みたいな人のことを言うんだ、まあいい
二人とも少し手伝ってくれ。」
「手伝うって何を？」
「決まってるだろう？ラブレターの整理だよ。」
「そんなの、杖一振りすれば終わるでしょ
甘えないで」
「そんな冷たいこと言うなよA。」
彼女はルーピンの腰に腕を回したまま
こちらに向かって舌を出した
その姿は無邪気で、まるで子供みたいだ
「じゃあいい、リーマスだけ連れてくよ。」
「やだ、リーマスは渡さない」
「駄目だ、私がリーマスを借りる。」
「リーマスは私のだもん、」
彼女の言葉が嬉しかったのか
ルーピンは緩む口元を手で覆い隠していた
＿＿＿羨ましい
「分かった、私も行く」
どうやら諦めたのか
Aはルーピンから離れると
渋々、と言った顔で
両腕に抱えていたラブレターをひったくった
「君は本当にモテるんだね。」
ルーピンは、Aの腕から
溢れそうなほどの、ラブレターの量に
軽く引いたような顔をしていた
「君もモテモテじゃないか。
この間だって、トンクスに呼び出されてただろ？」
「え、なにそれ知らない」
困ったように眉を下げる彼
成程、Aには言ってなかったらしい
「口を、清める必要があるみたいだね。」
にっこりと笑うその目は笑っていなくて
ローブから杖を取り出したルーピンに
シリウスは肩を竦めた
「おいおい勘弁してくれよ。」
「きちんと、断ったよ。
私にはAがいるから無理だ、ってね。」
「彼女がそれで諦めるとは思えないね。」
無言で睨みつけてきたAと
なんとも言えない顔をするルーピン
ルーピンとトンクスが付き合ってしまえば
私はAを手に入れることが出来るのに、なんて
一瞬、ほんの一瞬
そんな最低なことを考えてしまう自分がいて
「トンクスには申し訳ないけど、
私にはAしか見えてないよ。」
「リーマス……」
目の前で繰り広げられるバカップルぶりに
私は思わず目を背けた
その視線を戻した時、廊下だというのに
ルーピンは彼女の唇を奪っていて、
その光景に
ずきり、と
遠くで心臓が痛む音が聞こえた気がした
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
usagi(プロフ) - 弐七さん» 有難う御座います、凄く嬉しいです。是非、最後まで楽しんでいただければと思います：) (2019年12月8日 12時) (
レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
弐七(プロフ) - あーーー！！！もう！！このシリーズ読んで何回泣いたんでしょうか…。もう、もう、言葉が出ないほど甘くて、切なくて、二度ほど読むのを止めたくらいです（笑）。でも本当に心がぐっと掴まれる作品だと思います。最終章楽しみです。もう待ちきれません。 (2019年12月6日 22時) (レス) id: c70bc84ad6 (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - エマさん» 有難う御座います、次の更新は12月の中旬になってしまいますが実習を無事に終えて必ず戻ってきますので！二人の結末を最後まで見届けて頂けると嬉しいです：) (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - 梨音さん» コメント有難う御座います、2人の結末がどうなるのか、一緒にしっかりと見届けましょう！ (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
usagi(プロフ) - no nonさん» いつも有難う御座います！二人がどんな結末を迎えるのか、最後まで見届けて頂けると嬉しいです：) (2019年12月1日 15時) (レス) id: 569eb0a44e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：usagi | 作成日時：2019年11月26日 22時
