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昼間はどれだけ考えても、悶々とするだけでなにも進まなかったデザインが、彼の声を聞いただけでアイデアが溢れ出た。
ベッドの上で思い浮かぶだけのものをベッドに横たわりながら、ガサガサとクロッキーに描いていると、寝室のドアが控えめに開いて、彼が帰ってきたんだと思った。
扉の方を見やると、お風呂上がりのほかほかの祐也。
ふにゃっと笑って布団に入ってくるだけで彼の体温と、匂いと、なんだか色々溢れてきた。
泣いてる、なんて思われたら重い、とかめんどくさい、とか思われそうで嫌だけど、嫌だけど止まんなくて抑えられなくて、でもすっごい泣いてる、重いって思われたくなくて、思いっきり泣けもしなくて、ただ出てくるのは嗚咽と涙だけ
「なに?したいの?」
「...っばかぁ....」
「はいはい 」
「っむかつくの...むかつくばか...」
「はいはい、いい子いい子 朝にしようね、肌に悪いからね 朝のおれすごいから」
なんか、その余裕にうざいくらいむかつくけど、その抱きしめられる手に、胸に安心する自分にもっとむかつく。
おでこに感じる唇も全部、全部。
すき、すき、すき。
好きになられるだけはすきじゃない。ずっと好きでいたい人だって思ってた。
でも本当は、好きでいたいけど、愛して欲しくてしょうがないのかもしれない。
時々わたしと部屋との甘ったるい香りにうんざりする。でも祐也から香るこの匂いは死ぬほど好き。
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作者名:きょん | 作成日時:2017年8月2日 21時