ここひら ページ10
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かんっぜんに出遅れたやん。
屋上に着いた時、チーノが1番に思ったのはそれだった。大先生の手に渡っていた黄色い包、それは彼がとある現場を見てから虎視眈々と狙っていた物だった。
数時間前、いつものように登校したはいいがクラス内にはまだ仲の良い友達は来ておらず時間もある為Aさんに会えたらラッキーやんな、と思いながら教室を出たチーノ。
しばらく歩いて二年生のクラスがある廊下にさしかかろうとした時聞き覚えのある声が彼の鼓膜を揺らした。
｢俺、今日から弁当要らんから｣
ピタッと歩みを止め曲がり角の影から廊下を窺い見る。声の主はやっぱり頭に浮かんでいたシャオさんで、彼に対面する形でこちらに背を向けているのは想い人のAだった。
シャオさんがベラベラと話している中彼女はスッと持っていた黄色い包みを背中に隠すようにしてから彼に軽口を返す。
正直に言おう、チャンスだな、とチーノは思った。
聞けば生まれた頃から一緒だと言う二人。
ただでさえ一つ歳の離れたチーノは彼女と授業が一緒になるわけもない。空いた時間を見つけてはAにアピールしに行くが何故か彼女の傍には違うクラスのはずの黄色の彼が。
ぶっちゃけるとチーノは彼女の笑ってる顔が一番好きなのでこのまま自分の恋が実らなくとも幸せそうならそれでいいかと思っていた。(それでもワンチャンあるのでは、とアピールは欠かさないが)
そんなチーノの前で入った二人の間の少しのヒビ。彼女が傷つけられたのなら話は別だ、と彼がそのヒビを見過ごすはずがなかった。彼女の笑顔が消えてしまうくらいなら自分が隣に並んでやる。とその場で決意が固まる。
｢お弁当、どうしようかなあ｣
ぽつり、と零れたAの声に彼はまた廊下をこっそりと除く。いつの間にかシャオロンはいなくなっており、一人黄色い包みに視線を落とす彼女。。いつもよりも小さく見えるその姿にチーノは自分の掌をぎゅっと握りしめた。
今すぐ彼女の目の前に現れその手を取りたいのはやまやまだがそんなことをしたら彼女は無理に笑みを浮かべるだろう。そんな顔をさせたくはないのでチーノは静かにその場を離れる。狙うは昼休み、それもチャイムが鳴ってすぐに彼女のクラスに足を運ぶことを決めた。
ぜったい俺の方に振り向かせたる。
冗談めかしてだが健気に彼女を想っていた彼が掲げた小さな小さな宣戦布告だった。
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すず(プロフ) - 更新待っています！夢主さんもチーノも頑張って欲しい！ (2022年12月14日 23時) (
レス) @page23 id: aa81562ec0 (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - ちびごん1さん» ちびごん1さんコメントありがとうございます…！のろっのろ更新ですが気長にお待ちいただけると嬉しいです( ; ; ) (2020年11月4日 23時) (レス) id: 97d9ef33fd (このIDを非表示/違反報告)
ちびごん1 - 更新待ってます！夢主ちゃんがんばえ！！ (2020年10月8日 17時) (レス) id: 4fdb0260c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風 | 作成日時：2018年6月1日 22時
