とおとあまりななひら ページ18
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何故か、どこかしっくり来ない。
例の練習試合当日、せっかくスタメンに選ばれたんにどっかなんとなく調子が悪かった。
なにがどうという訳では無いけれどどことなく拭えない違和感が胸中を過ぎって、握り締めたバットもいつもより重く感じてあえなくうち損ねファールの連発。
まあそれがお前の実力なんだと言われればそれまでなんやけど。空回りでも気の緩み過ぎでもない言いようのないこの感じがどうすることも出来なくてもどかしい。
ぱっとしない俺のプレーに監督やチームメイトは緊張してるだけだろと笑い飛ばしてくれたが俺にはどうにもその重さが引っかかって、微かな自己嫌悪に陥る。
そういやAが試合前に言う｢行ってらっしゃい｣今日は聞いてないな、なんて。流れるように彼女のいるであろうスタンドに目を向けた。
いつも少しだけ不安そうに、願うように両手を胸の前で握りしめ、それでも安心させるように笑ってこっちを見ている彼女。きっとこの試合もそうやって自分のことを応援しているものだと、
そう、思っていた。
前回の試合のときにはそっちを向けば直ぐに視線がかち合っていたのに、見つめた先に求めていた彼女の姿はなくて。
その代わりにふわふわと風に揺れる茶色い髪が目に入った。
________こはるちゃん
眉を八の字に下げ心配を映してこちらを見つめる彼女の瞳と目が合う。驚いたのか少しだけ体を揺らした彼女は照れくさそうに笑みを零し“がんばって”と口を動かしたんが見えた。
『シャオロンくんのこと、応援しに行くね』
手作りの弁当を遠慮なく頬張る俺にそう言ってふわりと笑う昨日の昼の彼女が脳裏を過ぎる。可愛らしい女の子からの応援に浮かれてしまいそうだが実際それどころでは無いと緩んでしまいそうになる口元を引き締めた。一年の時から地道に練習に食らいついてきた成果を今発揮する時なのだ。
気持ちを切り替え守備に着く、ポジションは三年生を抑えてショートに。練習試合やしお試しかもしれん、やけどそれだとしてもなんとか爪痕を残したい。
焦る気持ちと相まって思考が働かなくなる、心做しか視界も狭まったように気さえする。
着々と進んでいく試合は幸か不幸かこちら側が有利な展開で、いつも通りのプレーができていない不安感に駆られる俺はほんの少しだけ安堵してしまった。それもまた悔しくて、グローブを外した左手をギュッと握った。
こんな情けない俺を見たら君は、なんて言うんやろうか。
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すず(プロフ) - 更新待っています！夢主さんもチーノも頑張って欲しい！ (2022年12月14日 23時) (
レス) @page23 id: aa81562ec0 (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - ちびごん1さん» ちびごん1さんコメントありがとうございます…！のろっのろ更新ですが気長にお待ちいただけると嬉しいです( ; ; ) (2020年11月4日 23時) (レス) id: 97d9ef33fd (このIDを非表示/違反報告)
ちびごん1 - 更新待ってます！夢主ちゃんがんばえ！！ (2020年10月8日 17時) (レス) id: 4fdb0260c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼風 | 作成日時：2018年6月1日 22時
