Story。6 ページ7
『今からなので簡単なものしか作れないんですけど…。
あ、どうぞソファに座ってください！』
…思わず入ってしまった。
どうも昔からあいつの頼みには弱い。
『あの…』
「なんだ」
『その、名前を聞いてもいいですか？』
困ったような顔をするA。そうか、こいつは俺のことを覚えてないんだったな。
改めてその事実を突きつけられた気がして…胸が抉られるように痛む。
「飯室成男だ」
『飯室さん…。ありがとうございます。
ちょっと待っててくださいね！』
そう言ってキッチンへと姿を消す。
もう一度名前を呼ばれる日が来るとは思わなかった。そう思うと不思議と胸の痛みが引いていく。
そんなことを考えていると、キッチンからの音が止まっていることに気づいた。
ふと目を向ければ、下を向いて震えているAの姿。
「どうした、A」
『い、いむろさん…！』
俺のことを見るなり抱きついてくるA。
そっと抱きしめ返せばAは少しずつ話し始める。
『ごめ…なさい。
今になって…あの時…飯室さんが来てくれなかったらどうなってたんだろうって考えたら…
すごい…怖くなって…ごめん、なさい…』
涙を流しながら謝るAを見て、あの時の奴らに怒りが湧いてくる。
怖くないはずがない。まだ高校生だ。それに加え、Aはああいう奴らとはほぼ無縁の生活を送ってきた。
そう考えれば、Aがここまで怯えるのも無理はない。
「大丈夫だ。あいつらはもういない。二度とあんな目には遭わせない。
お前のことは、俺が守る」
『飯室さん…』
「だから、安心しろ。お前は笑顔の方がいい」
もう一度強く抱きしめる。今の言葉に嘘はない。
こいつのことだけは何を犠牲にしてでも守ってみせる。
すると、Aはあのふにゃ、という笑顔を浮かべる。
『ありがとうございます、飯室さん。
あ、すみません！ご飯急いで作りますね！』
そう言って焦ったように料理を再開する。
…何も変わらないな。A。
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Alice(プロフ) - カイリさん» ありがとうございます！なるべく早く書けるように頑張ります！ (2017年8月16日 22時) (
レス) id: 9ea760eb42 (このIDを非表示/違反報告)
カイリ(プロフ) - はじめまして、カイリと申します。私には絶対書けない夢主のピュアさが眩しいです笑笑更新頑張ってください！応援してます！ (2017年8月15日 9時) (レス) id: c9706cfa40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alice | 作成日時：2017年8月14日 18時
