10年愛〜＊sho.hirano＊〜

#35 ページ35

それはきっと岸も知らない真実



「だからさ、、まぁ部下はみんな可愛いんだけど特に思い入れがあるっちゃあるわけ」




『はぁ…。どうして私にそれを…？』



「アイツの気持ち気づいてんでしょ？」



『……っ！？何で、、』



「いや、わかりやすいくらい出てるよ？アイツが誰をいっつも見てるかなんてみんな気づいてんじゃない？」



『本当に！？私、、、全然知らなかったのに…』



「まぁAちゃんのそうゆう所に惚れたんだろうけどね(笑)」




『、、、、。』




何て返していいか分からなくてひたすらアイスコーヒーを啜っていた



「2人に何があったんだか知らないけど昨日まで心ここに在らずです〜って顔してて相変わらず凡ミスばっかして、まぁそれはそれは先輩に怒られてたぜ？なのに今日は別人みたいに晴れやかに登場してホント分かりやすすぎるんだよな(笑)」



『怒られてたんですか…私のせいですね、、』




「まぁ女絡みで仕事に影響してるアイツも修行が足りないんだけどさ…。気持ち気付いたんならちゃんと考えてやって欲しい。良い奴だからさ」



『はい。わかってます。まだ頭の中整理できてないんですけどちゃんと答え出しますから』




「ん…。可愛い部下の為の余計なお節介、ごめんな？」




『いえ！私にも要因はありますから、、あの…1つ聞いてもいいですか？』



「何？」




『藤ヶ谷主任って彼女とかいらっしゃるんですか？』


営業所のみんなが気になるのに本人には誰も聞けないことを勢いで聞いてみた




「俺に彼女がいたら女子社員の士気に関わるでしょ？(笑)」



そんな冗談なのか本気なのかわからない事をサラッと言ってのけるアナタはやっぱり凄い人だ、、



カフェを出ようとしたらもうお会計は住んでますって…どこまでもスマートで完璧過ぎる…




藤ヶ谷主任は外回りがあるからって会社の手前で別れて一人フロアーに戻りながら藤ヶ谷主任が言っていたことを思い出す




ミスばっかして先輩に怒られてたとか、、全然知らなかった…




自席に戻ろうと営業部の前を通ると珍しく自分のデスクに岸がいた



目が合うと“おつかれ“って唇を動かして軽く手を上げてくれた



同じように返すと照れたように笑って本当に心底良い奴だなと思った




紫耀を想う気持ちと岸を想う気持ち



苦しくて切なくて恋焦がれるような気持ちとあったかくて優しくて癒されるそんな両極端の感情どちらが正しい恋かなんて私にはわからない

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