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3話。 ページ5

早朝、5時。
普段聞かないアラーム音で目覚める。


何でこんなに朝早く…?

そうだ。
兄と遭遇しないように、朝に風呂に入らなくてはいけないからだ。

兄は朝に弱い、とだけはハッキリ覚えている。


1階までの階段のところに行く。

そこには、いつもと同じように、カップ麺やコンビニのサラダ、ジュースが置いてあり、
そしてまたいつもと同じように、兄からのメモが置いてあるのだった。

『たまには兄さんに顔見せてよ。』
今日はそんなことが書いてあった。


ゴメンナサイ、と心の中で深く謝りながら、足音を消して階段を下りる。


…何これ。

綺麗だったはずのリビングには、酒の缶や瓶が転がっていて、猛烈に酒臭かった。


そういえば友達来てたな、その時に呑んだのかな、なんて考えながら風呂に入る。

でも、リビングに兄の友達が居なくて良かった…。
兄の気遣いかもしれない。


色々なものに感謝しながら風呂からあがる。

そしてタオルで髪を乾かす。
ドライヤーは大きめの音だから使わない。

髪の毛がすっかりいつも通りに戻ったので脱衣所から出る。


…あれ?
今まで気付かなかったけど、リビングのテーブルの下に寝てるのって兄だよね…。

面影は無くなってしまっていたが、どこかで嗅いだことのある、落ち着く匂いだ。


ソファーから落ちたのかな…?

精一杯の力を振り絞って、成人男性をお姫様抱っこし、ソファーに下ろす。

明日は筋肉痛だ。


そしてそこに落ちていたタオルケットをかけてあげた。

んぅ…なんて言っていて可愛い。


おっと、もう7時だ。

家を出るのを一応早めにしておかないと、起きてしまった兄に遭遇してしまう。


玄関に行くと、友達のらしき靴がバラバラと散乱しており、端っこには大人の女物のスニーカーが置いてあった。

そのスニーカーの中には、『いつでも出掛けてね。』と書かれたメモが入っており、心が温まると同時に、兄は私の存在をみんなに話していないんだな、と悟り、少し悲しくなった。


A「行ってきます。」

久しぶりに声を出した。


ドアを開け、鍵を閉める。

外の世界は、少し小さくなった気がした。
あ、大きくなったからか。

空き地だったところにはアパートが建ったり、公園の遊具がピカピカだったりしてとても新鮮だ。

しかも朝だからか空気が気持ちいい。


おっと、そんなにゆっくりはしていられない。

約束の駅までは結構近いが、迷いそうだからだ。


取り合えず最寄り駅まで急いだ。

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ミミ - 文才ありすぎませんか? 好きです (2021年1月24日 20時) (レス) id: 5412205f13 (このIDを非表示/違反報告)
美雲 - このような、素晴らしい作品を作れるなんてとても凄いです。続き、楽しみにしています。 (2020年1月13日 16時) (レス) id: 0e776977f0 (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き(プロフ) - すみません…私事なのですが、苗字と、名前が被ってしまってとても読みにくいため変えてもらうことは出来ませんでしょうか? (2019年4月2日 22時) (レス) id: 9a6c0bea28 (このIDを非表示/違反報告)
ハヤテ - 夢主ちゃんは、パラジクロロベンゼンとか飴と鎖みたいな感じの曲を作るのかな? (2018年10月19日 22時) (レス) id: f0adf48f80 (このIDを非表示/違反報告)
林檎紅茶(プロフ) - 眠い(ーー)さん» コメントありがとうございます!星を押すほどの作品ではございませんよw楽しんでいただけて何よりです! (2018年9月24日 1時) (レス) id: 26bfe0290c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:林檎紅茶 | 作成日時:2018年7月3日 5時

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