【歌い手】引きこもり系ボカロPはある決断をするそうです。

プロローグ ページ1

朝だ。


カーテンの隙間からそうっと光が射し込み、ホコリっぽいこの部屋を照らす。


私はのそのそとベットから起き上がった。



机の上にはパソコンとコーラと昨日の夜中に食べたカップ麺の容器。


そして容器を捨てて机をある程度片づけ、ヘッドホンをする。


…そう。私はいわゆる『引きこもり』。

小学生の頃から外の光を浴びていない。


でも、ニートじゃない。


実は、『陽だまりP』という名前でボカロPをやっている。


陽だまりPは、病み系や思春期の少年少女についての曲を多く作る。

『陽だまり』なんて名前してるのにこんなジャンルは如何かと思うが、そのギャップが面白いらしい。


最近は歌い手界でも陽だまりPの曲が歌われるようになってきて、さらに人気が増しているらしい。


まぁ、私の悩める少女時代を等身大に書き綴ったからね…。


なんて話はさておき、私ももうじき高校生(仮)になる。


今さら学校に行く気になんてなれないが、これを機に、何かやろうと思っている。



そんな時、ある1通のDMが届いていたことに気付いた。


『まふまふ』。

そう、誰もが知っている超人気歌い手だ。


何だろう、そう思って表示されたトーク画面を開く。


『こんばんは、夜分遅くに失礼します。歌い手をやらせていただいています、まふまふです。
いきなりで申し訳ないのですが、僕に楽曲提供してくださいませんか？
お返事はゆっくりで良いですが、良いお返事を期待してます。』


…ん？

人に楽曲提供…？


会ったこともない人が、どんな感情を秘めてるかなんて流石に私も判らない。

『断ってしまおう』、そう思った。


だが、万が一まふまふさんが生放送か何かで「楽曲提供断られた」なんて言ったら、私の生き甲斐を感じられる唯一の世界が酷いことになり、アンチが来るかもしれない。


どうしよう。

とりあえずゆっくり考えることにして、もう一度ベットに潜った。

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