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ピアノ、そして教室。
頭の隅に封印したはずの記憶が、嫌でも蘇る。
「…もう昔の話でしょ」
自分をそう鼓舞して、教室へと入る。ピアノ椅子に腰かけ、ゆっくりとピアノを開く。音階を演奏すると、「ミ」と「ファ」の音がずれていることが分かった。鞄の中からチューニングハンマーを取り出し、音階に合うようにと調律をする。それから適当に一曲演奏し、ピアノを閉じた時だった。
??「調律、助かりました」
ノック無しに入ってきた男性と思しき人物。
いえいえ、調律師には劣りますが…なんて謙遜しようと顔をそちらに向けた。
「…どうして…」
黒い髪に、眼鏡をかけた長身の男性。一見すれば、清潔感のあるこの男。
??「初めまして。次の年度から吹奏楽の副顧問になる、トントンと言います」
一言で言い表すには難しい、複雑な感情が胸の中を支配した。それがどんな感情なのか、どんな名前を付ければいいのか悩んでいると、新しい感情が支配していく。
怒りだ。
tn「あ、すみません…邪魔しちゃいましたよね」
ばつが悪そうな顔をして教室から出ようとしたトントンと名乗る男。何もできずにいると、彼の後ろから「トントン先生、どうぞ入って」とグルッペンが彼を教室に押し込んだ。
gr「挨拶は済んだか？A」
「あ、」
gr「トントン先生、彼女はここの吹奏楽部で楽器のメンテナンスを請け負ってる。A、自己紹介を」
tn「A？」
間髪入れずに彼は繰り返す。斜め上を見て、「ああ」と彼は納得した用な顔をする。
tn「Aさん…Aさん…」
私の身体全体を査定でもするかのような視線。下から上に舐めるように見終わった後、「ああ！」と納得したような表情をする。その後の言葉を聞きたくなくて、顔を彼から逸らした。
tn「Aさん！そうですよね、生徒たちが話してました。Aさんという可愛らしいメンテナンスの人が毎週来るんだ、って」
再び顔がトントンの方に向き直る。
tn「あれ…違いました？」
gr「可愛いらしい、は余計やったかもな」
グルッペンがそう言うと、「いえいえ、とてもお綺麗な方じゃないですか」と顔を赤らめた。
「…調律は終わりました。ご確認いただけますか？」
tn「あ、いや…実は僕、音楽の知識はほとんどなくて…」
gr「副顧問なんてそんなもんやし、」
「ごめんなさい。そろそろお店に戻ります。グルッペンさん、まだ残りますか？」
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Alex(プロフ) - ひすいさん» 感想本当にありがとうございます！すごく嬉しいです…！実習の時に何があったのかとか、tnのパスみなどが出てくると思いますので…少々お待ちくださいませ！ (2022年9月24日 22時) (
レス) id: 130555b457 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 今回の作品も学校、部活動から得られる青春の感じも勿論あるのですがその中に不気味で真っ暗な穴の底を覗こうとしているような気持ちが湧き上がってきて、教育実習の時に2人の間になにがあって事件に繋がったんだろう、など色々考えてしまって今から続きが楽しみです (2022年9月24日 2時) (レス) id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
ひすい(プロフ) - 新作、今気づいて拝読させて頂いたんですがとてもゾッとしました。Alexさんの作品で初めて読んだのは「魔女集会で会えたら」シリーズだったのですが、その時からAlexさんの書かれる空気感がすごく大好きで魔女集会シリーズはよく見返しています。 (2022年9月24日 2時) (レス) @page1 id: 85256ab897 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2022年2月13日 21時
