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gr「…甘いな」
こんな状況だと言うのに、この男の余裕さはまったく無くならない。
gr「Aの髪の香りと同じくらい、お前の考えは甘いぞ」
彼の顔にかかってしまった私の髪を人差し指にまきつけ、遊ぶグルッペン。
gr「命乞いはしない。まず、仕方が分からんからな」
「トントンに杖を下げてと言えばいいだけ。そしたら私は、あなたに危害を加えない」
gr「いや、そのままでいい。この均衡を崩してはいけない。見てみろ、A。まるで今の世の中を表してるようじゃないか。このまま話そう」
魔法使いが吸血鬼を殺そうとしており、吸血鬼は人間を殺そうとしている。つまり彼が言いたいことは、別種族間の争いもあり、地球上で迫害を受けていないヒトの子らもまた、こうして後ろからいつだって異種族に寝首を狩られる可能性があるということだろう。そんな中、あえてこのままで話をしたいと言ったグルッペン。彼の口から出た言葉は、衝撃を与えた。
gr「あの林檎の芯は禁断の果実。そして、付着していた唾液はイブのもの。それから、もう一つ俺のものや」
グルッペンの向こう側では、トントンがはあと息を漏らして目を閉じる。
「な、にそれ…それってつまり、」
gr「お察しの通り、俺がアダム。ヒトの祖や」
***
グルッペンはまるでそれを話す準備があったかのように、昔話を始めた。
アダムとイブ、と言えば神が創ったヒトの祖だ。厳密に言えば、イブはアダムから創られたけど。そして、善悪の判断ができるようになるリンゴを食べ、彼らは神から楽園を追い出された。沢山の困難を二人で乗り越えたが、ある日イブは忽然と姿を消した。禁断の果実、林檎と共に。いなくなった彼女を探したが、見つからなかった。そしてその林檎が今、ここにある。
gr「俺はイブを探しとる。だから、このオークション会場を作った」
珍しいモノが集まるオークション会場なら、何か手がかりが見つかるかもしれない。そう思い、グルッペンは会場を作った。今まで何十年と勤めたここが、そんな経緯で作られたことに驚いた。
cn「ヒトの祖ってことは、」
「私たちの祖でもあるってこと…だよね…」
詳しく言えば、吸血系や人狼、魔法使い、小人など…我々の祖もヒトであった。色々な変異があり、それぞれが特異な変身を遂げてここに辿り着いたのだ。ゆっくりと顔を首から離し、トントンを見る。
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Alex(プロフ) - 鷹尾さん» ありがとうございます！現在続編を書いてるところなので、お楽しみにお待ちくださいませ！今後とも引き続き宜しくお願いいたします！ (2019年8月8日 19時) (
レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - 十音さん» もちろんです！現在書いている続編では、エミさんとコネシマさんが登場してます！お楽しみに！ (2019年8月8日 19時) (レス) id: 8d1909fe0c (このIDを非表示/違反報告)
鷹尾(プロフ) - コメント失礼します！相変わらずAlexさんのまとまった綺麗な文章と、面白いストーリー性にはいつも感服させられます..今後のストーリーが楽しみです！これからも無理なく活動を続けて下さい！応援しております！ (2019年7月25日 6時) (レス) id: 1713adb778 (このIDを非表示/違反報告)
十音 - 続きはゾムさんとかオスマン先生とかも関わってくるんかな? 楽しみにしてます! (2019年7月23日 22時) (レス) id: c8ef4a1018 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - 夢愛-ゆあ-さん» ありがとうございます！私も書いていてとても楽しいです！今後もぜひご覧くださいませ！ (2019年7月22日 21時) (レス) id: 88753e3a2c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2019年7月22日 0時
