03 ページ3
悲しみに暮れている暇はない。今は一刻を争う時。この城の中に、まだ王を殺した奴がいる。
eml「嵐の前の静けさ…ですね…」
いつでも窓から逃げられるよう、窓は開けておいた。そこから入ってきた風が、エーミールの前髪をもてあそぶ。
ut「変なこと言うなや、ほんま空気読めん奴やな」
早口でそう言うが、自分も同じことを思っていた。不気味すぎる程静かな夕方。
rb「馬の準備出来た。馬小屋までの通路はゾムが確保しとる」
本棚の裏にある隠し扉から入ってきたのはロボロだ。
ut「よし、行くか。A様、行きましょう」
「嫌よ！…嫌だ…ここから離れたくない…」
eml「同盟国がA様と女王を匿ってくれるはずです」
さあ、と手を掴むが拒まれる。こんなことに時間を割いてる暇はない。
ut「女王の説得は、」
「ほ…こ、く…！」
女王の説得はどうなったん？ロボロに尋ねようとした時だった。正面の扉から入ってきたのは手負いの衛兵。首から血が流れ、部屋の中は騒然とした。
「じょ、女王は、か、くめ…ぐに、…ころ、され…した…」
手を口にあて、今にも零れ落ちそうな悲鳴をぐっとこらえるA様。それは本当のことなのか？死体に疑問を投げつけることはできない。今はその衛兵の見開いた目を閉じさせることくらいしか、できることはない。
「う、そよ…そんな…」
eml「それじゃあグルッペンさんは？トントンさんは？」
rb「分からん。一旦女王様の部屋まで行ってみる。お前らはここにいろよ？もしもの時は、」
ut「分かってる」
そう言ってロボロが廊下に出るため、物陰から覗こうとした時だった。
rb「っ！」
ロボロの頭があった場所に刺さっていたのは矢だ。
rb「くっそ、」
そこからはそれぞれが早かった。エーミールは本棚の後ろの隠し扉を再度開け、俺はA様の荷物を持って彼女の背中を押す。ロボロはA様の部屋に置いてあった、訓練用の弓矢を持った。
eml「ロボロさん！早く！」
エーミールが扉の前に立ち、閂をしたロボロに言う。
rb「…あかんやろ、俺が行ったら」
それは誰もが知っていたことだ。隠し扉の本棚を誰が動かせばいい？ロボロは答えないままシーツをビリビリと破き、窓から降ろす。そこから逃げたように見せかける、ということだろう。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 323人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Alex(プロフ) - おうおさん» パスワードを教えてほしいということですか？それでしたらパスワードは教えられません。 (2021年8月24日 8時) (
レス) id: 5343f7f9cb (このIDを非表示/違反報告)
おうお - 続編見たいんですけど…パスワードが…… (2021年8月23日 22時) (レス) id: 7273c0d811 (このIDを非表示/違反報告)
もうふ - え…もう無理泣く。 (2020年2月17日 1時) (レス) id: 8ed07cb4d9 (このIDを非表示/違反報告)
Alex(プロフ) - 里奈さん» 愛してくれてありがとー！続編もぜひご覧くださいませ！ (2019年6月3日 9時) (レス) id: 9980b2e5cf (このIDを非表示/違反報告)
里奈 - めっちゃしゅきです(更に便乗)作者さんも我々だも、しゅき。愛してりゅ〜！ 失礼しました(土下座) (2019年5月29日 22時) (レス) id: a47ab054ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Alex
| 作者ホームページ：http://nanos.jp/xxdreamxxalex02/
作成日時：2019年5月12日 22時
