実体リリース3 ページ20
「──な……君、え？」
私にまで魔法を使ってしまったことに気が咎めたのか、仕掛けた本人は目を見開いたままこちらを凝視していた。
「とにかく落ち着いてください。リドル様──、」
ハッとして両手で口を押える。
声が高い？
口調がレグルスのものに変換されていない。
そういえば制服の袖が余り過ぎているし、ズボンの裾も引きずっている。
まさか──……変身魔法が解けてる！？
うそ、そんなっ、どうしよう……っ！
周囲から視線を感じてパニックになりそうだが、大丈夫だと自分を落ち着かせる。
ユニーク魔法で食堂にいる生徒の記憶を書き換えれば、この場はなんとか凌げるのだと。
私はユニーク魔法の詠唱を頭の中に浮かべ、発動の呪文を唱えた。
「
これで万事解決………………あれ？
魔法発動の後は、記憶改竄のために脳が強制的に眠りに落ちるのに。
どうしてみんな起きているの？
いや、魔法が発動した気配がない。
対象の人数が多すぎるから？
それとも魔力量の問題？
もしかして、この首輪──……
「何の騒ぎですか！ 今日はウィンタベリーカレッジからのお客様がいらしてるんですよ！ 皆さん、静粛に！」
食堂がざわつく中、学園長がお客様を連れて現れた。
ああ、なんてタイミングの悪い……。
「ナイトレイブンカレッジはお昼も賑やかですねぇ……──な、あ、あなたっ！ こんなところで何を！？」
「……寮監様」
学園長が連れていたのは、ウィンタベリーカレッジ、ハーツラビュル寮寮監のミス・ローズハートだった。
その人物を見てリドル様が姿勢を正した。
「お、叔母様……！？」
「お姉様とお呼びなさい。私はまだ二十代よ」
「し、失礼しました。お姉様」
ファミリーネームで察していたが、寮監様とリドル様は親族だった。
「よろしい。あなたが立派に寮長の務めを果たしていると聞いていますよ。しかし今はあなたのことに構っている場合ではありません。……A・スターフィールド」
「……はい」
「急に休学の連絡が届いたから何事かと心配していましたけれど、まさかこんな場所で……はぁ、レディがなんて格好を」
寮監様は持っていた長杖の底で地面を叩いた。
瞬間、私の服はサバナクローの制服からウィンタベリーカレッジの寮服に変わった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 301人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月歌兄弟(プロフ) - タイトルの通り、読み手も困惑しておりこれは続編なしではみられません！続編待ってます！(意:めちゃくちゃ面白いので続き見たいです) (11月11日 16時) (
レス) id: 175212f014 (このIDを非表示/違反報告)
ぺあ - き゜ゃぁぁぁぁぁ！！()やっとね！！やっとね！！おほほほほ！！！(こんなにも面白い作品を恵んでくださりありがとうございます！) (11月4日 21時) (レス) id: 04768797e7 (このIDを非表示/違反報告)
こめお(プロフ) - 需要ありまくりです！！続き待ってます！！！！引き続き執筆頑張ってください！ (11月4日 13時) (レス) @page24 id: 121e674881 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：瑪瑙
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=agate0320
作成日時：2023年10月21日 20時
