救いの手。in×yt (ページ8)

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「よく分からない荷物が増えてるなんて、怖くないんですか？」

何で？と不思議そうに首を傾げる伊野尾さん

「良くない？誰かとルームシェアしてるみたいでさ」

「でもこの部屋、ちゃんと鍵かけてましたよね？」

「うーん、俺もよく分かってないんだよね。いつの間にかここに住んでて、前に住んでた場所なんて覚えてないから、とりあえず住んでるって感じ。」

いや、伊野尾さんの方が立派な不法侵入じゃないか。

この人は誘拐以外にも色々罪を重ねてるんだろうなぁ、とぼんやり考えながら、通知が止み静かになった己のスマホを見つめる。

「ご飯も用意したよ〜。ごめんね、手作りとかじゃなくてコンビニ弁当だけど。」

「あぁ、すいません。後で払いますんで…」

いいって！と手首をブンブンと振りながら、彼は電子レンジに弁当を入れ、規定時間スイッチを入れた。

俺以外の誰かが、俺のために何かをしてくれている。

その事が、ほんの些細なことだけれども。

少し嬉しかった。

でも、その気持ちに無理やり蓋をした。

他人に期待などしてはいけない。どうせすぐに

死ぬんだから。

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