救いの手。in×yt (ページ4)

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「もう大丈夫だから。もう、アイツらに酷いことされないから。」

訳の分からないことをいいながらその人は俺に近づいてくる。

「ちょ…ちょっと、待ってください！誘拐！？

ていうか、酷いことってなんですか？ウチ、なんにもないです、から」

嘘つかないで

そう言って彼は俺の両肩に手を置く。

「…震えてるじゃん」

「…そりゃ、震えますよ。

こんな変な人に、…誘拐されるなんて、言われたら」

威勢を張っているつもりだが、身体に力が入らない。

怖い。

彼の腕が俺の顔に伸びてきて、思わず目を瞑る。

だが、その手は俺の頭をゆっくりと撫で始める。

「俺知ってるよ。

裕翔君のお家、シングルマザーだったよね。
そのお母さんからネグレクトを受け続けていたことも。

そんなお母さんが再婚して、連れ子の義兄から裕翔君の体を求められていることも。

…キミが今日の夜、命を絶とうとしていたことも。」

「…どうして、」

どうしてこの人は全部知っているんだ？

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