eight■23 ページ23
「もう帰るん？」
もっかいゆっくり、渋谷さんが言う。
真っ直ぐオレの目ぇだけ見て、全く消えてもた表情で。
瞬きもせんと、なんちゅう顔しとんのってぐらい。
そのでっかい目ぇに、色が無い。
オレ見てんのにどこ見てるかよう解らんぐらい。
渋谷さんの目ぇから、色も何もかもが掻き消えてる。
「帰らん、と」
「邪魔・・・でしょ？」
「・・・大倉」
「は・・・い？」
「俺、ツライ」
「はい？」
「むっちゃ、ツライ」
表情も、その目ぇの色も、なんもかんも無くしてぽそっと渋谷さんがそう言うた。
何がツライんかって。
痛いぐらい、解りすぎるぐらい。
解ってもて。
「・・・ごめん、冗談や。なんもない」
「帰り？大倉」
そう言うて、重ねてた手をゆっくり離して。
またよいしょ、って言いながら椅子からストンと飛び降りる。
オレに背中を向けたまんま、カウンターの向こうに行こうとしてる渋谷さんの。
そのちっちゃい渋谷さんの。
ちっちゃい、んやけど。
「何しとんねんな」
「犯すぞ、大倉(笑)」
そのちっちゃい渋谷さんを後ろから。
ぎゅうっと抱き締めとった。
首の下に両手を廻して、首元に顔を埋めるみたいに。
ぎゅうって後ろから抱き締めとった。
「・・・犯されるんはイヤです」
「・・・犯された事ないからイヤや」
「なんやねんな、じゃあ犯さんかったらええんかいな(笑)」
「・・・・・・ﾊｲ」
もうあかんて思った。
何で急にこんな溢れるんか自分でも解れへんかった。
真っ二つの方っぽから。
どんどんどんどん、溢れてくる。
どうしようもないぐらい溢れてくる。
抑えきれんぐらい、溢れてくる。
溢れて溢れて、その想いに浮かんだら。
目の前のこの人が、好きやってもう溢れて零れて。
どうしようも、なかった。
廻してた腕に、渋谷さんの手がふわっと触れる。
するするその腕を撫でられる先からキモチが柔らこうなってきて。
ココロが柔らこうなってきて。
「大倉？」
「・・・・・・」
「好きやで？」
「今言わんでも・・・いいでしょ」
「今言わんでいつ言うねん(笑)」
「むっちゃ、好きやで？」
「・・・・はあ」
溜息をついた渋谷さんが、顔をまだ埋めてるオレのアタマにコツンと重なる。
このアホが、って何で言われてるんか解れへんけど。
「アホ・・・ちゃうもん」
「大倉はアホやで？(笑)」
ちゅぱっとアタマにキスされながら、またアホって言われとった。
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ろっく(プロフ) - 描写がリアルです。流石です。何が流石なのか私もイマイチ分かりませんが流石です。ファンですファン！！ファン！！！ (2017年6月9日 20時) (
レス) id: 330e515566 (このIDを非表示/違反報告)
風子(プロフ) - はじめまして。あれ貴族さんの大ファンです。ねるねるねるねを日本酒で作るのにハマっている腐った乙女（おっさん）でございます。どうぞ宜しく (2015年5月17日 10時) (レス) id: 1e1b7842b3 (このIDを非表示/違反報告)
あれ貴族(プロフ) - きっくさん» なんかフラっとココに来たらきっくさんからのコメが！！知らなかった！気付かなかった！！(笑）つか、フラグしかないよ(笑) (2014年4月25日 12時) (レス) id: be6d446115 (このIDを非表示/違反報告)
きっく(プロフ) - あれ貴族さんはR18の作品を書いておられたんですね！家族が寝てるのに夜中からﾋｨｰﾋｨｰしておりました私(笑)タバコを思わずフフォって口から吐くくらい突然の笑いのやり取り。やっぱりセンスありまくりですあれ貴族さん！＼(^o^)／ (2014年3月21日 2時) (レス) id: d8d74fe759 (このIDを非表示/違反報告)
あれ貴族(プロフ) - ！さん» はじめまして（ぺこりん）ヤスくんは可愛らしいんですけどね。可愛らしいからこそのえげつなさ、そこからのオトナの感覚？(笑)解らないとは思いますがﾖﾛｼｸﾄﾞｰｿﾞ(笑) (2013年10月20日 3時) (レス) id: 897a8b5ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あれ貴族
| 作者ホームページ：http://id17.fm-p.jp/316/lovelyalex/
作成日時：2013年3月25日 18時
