eight■16 ページ16
「たちゅー？」
「んー？」
「ケータイ、何かおかしいねん」
「おかしい？」
次の日の朝、ヤスくんがケータイを持ってちょこちょこ傍まで来てフシギそうにケータイ眺めてそう言うた。
なんでやろ？って言いながら、むっちゃタップしてんねんけど。
「たちゅのな、アドレスとか全部消えてんねん」
「オレの？」
「うん、たちゅのだけ」
「あとな？」
「ストラップにラクガキされとる」
「・・・・・・」
ヤスくんが付けてたクマのストラップに。
鼻毛やらぶっとい眉毛やら。
背中にはウンコとか・・・書かれとうしな・・・。
「こ・・・子供か・・・」
「？？？」
「昨日な、ヤスくん渋谷さんとこにケータイ忘れとってな・・・」
夜中にヤスくんが寝てる間にケータイ取りに行った事。
多分そん時に渋谷さんがイタズラしたんやろって事。
新しいストラップ、買うたるからねって事。
それしか言わんかったし、言えんかったけど。
「僕、なんかしたんやろか？」
「・・・いや？」
「ヤスくんは何もしてへんよ」
「せやろか？」
「・・・うん」
「大丈夫、何もしてへん」
ならええわー♪
そう言って笑うヤスくんの顔が、前と違って見えるんは何でやろ。
相変わらずむっちゃ可愛いって思うのに。
抱き締めようとする手が一瞬だけ躊躇するんは。
何でなんやろ。
それからもオレとヤスくんは別れる事は無かった。
でも自分自身、前とは違うってウソ臭い笑顔の裏で気付いとった。
どんだけズルいねん、ってずっと思っとった。
でも、どうしてもヤスくんには言えんかった。
自分のココロが真っ二つに分かれてる事を、どうしても言えんかった。
ヤスくんは何も気付いてない風やったけど。
もう一人は、むっちゃカンジ悪かった。
「大倉」
「何ですのん」
「お前いつになったらヤスと別れて俺のもんになんねんな」
「渋谷さんのもんになるなんて一回も言うてません」
「いつまで経ってもヤらしてくれへんし！」
「お前だって俺の事好きやろ？好きな筈やで？絶対好きや！」
「ハイハイ」
「何やねんな、その可愛げの無い態度！」
オレは渋谷さんに好きやって一回も言った事は無かった。
でも。
いつの間にかヤスくんがおらんでも、このカウンターに一人で座るようになっとった。
相変わらずオレ以外に客がおれへん、このバーに。
「・・・ほんま、犯したろか」
「やめて下さい。ムリヤリは趣味とちゃいます」
いっつも、こんなん。
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ろっく(プロフ) - 描写がリアルです。流石です。何が流石なのか私もイマイチ分かりませんが流石です。ファンですファン！！ファン！！！ (2017年6月9日 20時) (
レス) id: 330e515566 (このIDを非表示/違反報告)
風子(プロフ) - はじめまして。あれ貴族さんの大ファンです。ねるねるねるねを日本酒で作るのにハマっている腐った乙女（おっさん）でございます。どうぞ宜しく (2015年5月17日 10時) (レス) id: 1e1b7842b3 (このIDを非表示/違反報告)
あれ貴族(プロフ) - きっくさん» なんかフラっとココに来たらきっくさんからのコメが！！知らなかった！気付かなかった！！(笑）つか、フラグしかないよ(笑) (2014年4月25日 12時) (レス) id: be6d446115 (このIDを非表示/違反報告)
きっく(プロフ) - あれ貴族さんはR18の作品を書いておられたんですね！家族が寝てるのに夜中からﾋｨｰﾋｨｰしておりました私(笑)タバコを思わずフフォって口から吐くくらい突然の笑いのやり取り。やっぱりセンスありまくりですあれ貴族さん！＼(^o^)／ (2014年3月21日 2時) (レス) id: d8d74fe759 (このIDを非表示/違反報告)
あれ貴族(プロフ) - ！さん» はじめまして（ぺこりん）ヤスくんは可愛らしいんですけどね。可愛らしいからこそのえげつなさ、そこからのオトナの感覚？(笑)解らないとは思いますがﾖﾛｼｸﾄﾞｰｿﾞ(笑) (2013年10月20日 3時) (レス) id: 897a8b5ed3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あれ貴族
| 作者ホームページ：http://id17.fm-p.jp/316/lovelyalex/
作成日時：2013年3月25日 18時
