ゲームセット０６(弟者・兄者・おつ) ページ26
「お知り合いだったんですか？」
「まぁね、あんな野郎でも一応組織の古株なんだ。風来坊みたいな奴だからアイツに用ある時とかは居場所を捜索しないといけないんだけど。あっホホイのホイっと・・・。あー、居た居た。近くのビルから遠隔操作してやがんな。取り敢えず逃げれないように出入り口全部ロックしてやろーっと。全く、電子ロックの無いビルに潜んでいれば良いものを、相変わらず詰めが甘いなー」
そう言って作業し終わったおついちはパソコンを折りたたんで片手に持った後、立ち上がって空いている手を私の前へと差し出した。差し出された手を取り、私もその場に立ち上がった。
「それじゃあ僕は2人と合流してちょっくらシメてくるから、Aちゃんは彼女達と一緒に先に戻ってゆっくり休んでて。あ、このパソコンちょっと借りてくね」
「御三方だけで大丈夫ですか？応援要請などは・・・」
「平気平気、僕等だけで充分。帰ったら美味しいご飯作ってあげるから待っててね」
それじゃあ行って来るねと言って歩み始めたおついちの後ろ姿を眺めていると、ふと兄者の言葉が頭を過った。
”次会ったら呼び捨てで呼んでやれ“
「あ、あの」
考えるよりも先に出た私の声に、おついちのが歩みを止めて振り返った。
「ん？どうしたの？」
「その・・・くれぐれもお気を付けて・・・。えと・・・」
頭で分かっていてもいざ口にするとなると急に恥ずかしさが込み上げてくる。
あぁ、顔から火が出そうとはまさしくこう言う事なのだろう。
「おつ、いち・・・」
おついちを直視出来ず、思わず視線を下に向けて小さな声でおついちの名を呼んでみた。
それまで私の言葉を微笑みながら聞いていたおついちだったが、私の言葉を聞いた瞬間、目にも留まらぬスピードで私の元へと駆け寄って来た。
「ちょっ！今何て！？」
「わー！ご、ごめんなさいっ！」
詰め寄ったと同時に私の肩を強く掴むおついちの反応にやっぱり失言だったと慌てて謝るが、そんな私におついちは勢い良く首を振った。
「そんな謝る必要性なんかどこにも・・・！寧ろ滅茶苦茶嬉しいっ！わー、嘘、マジかっ！名前呼ばれるだけで嬉しいだなんて、こんなの初めて・・・！よし、決めた！サクッと終わらせてイチャつきに帰るから！待っててね、A」
そう言いって嬉しそうな笑みを浮かべたおついちは私の額にキスを落とし、鼻歌交じりに再び歩み出した。
【NEXT】
ゲームセット０７(弟者・兄者・おつ)→←ゲームセット０５(弟者・兄者・おつ)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アルバ(プロフ) - 雪さん» 初めまして今晩は。作品を読んでくださり有り難うございます！(*´ω｀*)亀更新で申し訳ありませんが、またちょこちょこ覗きに着てくだされば幸いですm(_ _)m (2023年4月21日 0時) (
レス) id: 72af701c94 (このIDを非表示/違反報告)
雪 - 何ヶ月何年経っても貴方様の書いてくださる作品に心癒されています！本当にありがとうございます！ (2023年4月15日 1時) (レス) id: 3b9fd3f12e (このIDを非表示/違反報告)
アルバ(プロフ) - 神威琉璃さん» 初めまして、今晩は。他の作品も読んで頂き有り難うございます(*´∀｀)そう言って頂けて、とても嬉しいです！(*´ω｀*)マフィアものも少しずつですが執筆しておりますので、ちょこちょこ遊びに来て頂ければ幸いです(*´-`) (2020年2月25日 23時) (レス) id: 0f4ad8ad92 (このIDを非表示/違反報告)
神威琉璃(プロフ) - はじめまして！アルバさんの小説はすべて読ませていただいて大ファンです！特にこのマフィアパロが相当大好きです！御三方のかっこよさ、ヒロイン達の可愛さ等など上げだしたらキリがありません！これからも応援しております！ (2020年2月25日 17時) (レス) id: ef9053a518 (このIDを非表示/違反報告)
アルバ(プロフ) - スノーさん» 初めまして、今晩は(*´ω`*)自由過ぎるくらいキャラを好き勝手書いていますが、そう言って頂けてとても嬉しいです！有難うございます！これからはもう少し更新スピードを上げられるよう頑張りたいと思いますので、遊びに来て頂ければ幸いですっ（´-`) (2020年2月23日 0時) (レス) id: d87d40427d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：アルバ | 作成日時：2018年11月10日 0時
