初恋(弟者) ページ10
ーーー好きで好きで堪らないからーーー
「どう?弟者?」
試着室のカーテンを開け、ワインレッドのワンピースを着てこちらに笑顔を向ける幼馴染の彼女。
「え、あ、に、似合ってると思うっ」
そんな彼女が可愛すぎて直視できず、俺は慌てて短く相槌を打って彼女に背を向けた。
「もー投げやりだなぁ。じゃあさっきの水色のワンピースとどっちが良い?」
「俺は赤の方が好・・・。えと、Aの高校の同窓会用なんだろ?今の落ち着いた色の方が良いんじゃない?」
「そっかー。社会人だしこっちの方が良いよね。有難う」
そんな俺の言動など気にする素振りもなく彼女は再び試着室のカーテンを閉めた。片想いの彼女から買い物に付き合って欲しいと言われ、喜んで買い物に着いて来たは良いが途中から“あれ、これってデートじゃね?”と言う考えが過ってから変に意識してしまい今現在に至る。
(しかもカーテン越しで着替えてるってのは・・・)
青春真っ盛りの高校生じゃあるまいし、動揺する事など全く無いのだが自然と鼓動が速くなる。悶々としながら待っていると再び試着室のカーテンが開き、着替え終えた彼女が先程のワンピースを持って出て来た。
「お待たせ弟者。・・・どうしたの?」
「え!?あ、いや・・・!」
落ち着かない態度でしろどもどろ応える俺に彼女は首を傾げた。
「あ、もしかして女性服のショップだから恥ずかしかった?わー、気が付かなくてごめんねっ。
これお会計したら直ぐに出るから店先で待ってて良いよ」
そう言う事では無いのだが、このままの状態もどうしようもないので外の空気でも吸って落ち着こうと彼女に言われるがまま店先で待つことにした。
「はぁー」
深呼吸をし気持ちを落ち着かせる。よし、さっきよりは大分良さそうだ。
「ごめん弟者。お待たせっ」
「大丈夫、荷物持つよ」
笑顔でお店から出て来た彼女に俺も微笑みながら手を差し出した。
「あれ?Aちゃんじゃん」
荷物を受け取ったタイミングと共に突然彼女の名が呼ばれた。振り返ると見知らぬ男が笑顔でこちらに近づいて来ていた。
【NEXT】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時