愛情表現2(兄者) ページ9
「・・・あとはそうだな、独占欲が強いんじゃねぇの?」
ふと言葉を漏らした彼に私は思わず疑問の声を上げ、彼に視線を向けた。いつもだったらゲーム画面に視線を戻した時点でそこで話しは終わりなのだが、今日は珍しく言葉が紡がれている。
「独占欲?」
珍しい事もあるものだと思いつつ私は彼の言葉を声に出した。
「本気で好きな女ほど他人に取られたくねぇって気持ちが強いんだよ。結果的にそれが束縛になってるのかもな」
「へぇー、兄者って昔から色恋沙汰に興味無さそうだったから、そこまで言うって何か意外ー」
正直最初の時点でアホくさとか言われるかと思っていたのでここまで突っ込んだ意見は驚きである。冷徹に見える兄者にもそう言った考えがあるんだなーと感心していた私だが、ふと彼が握るコントローラの手が止まっていることに気が付いた。疑問に思い顔を上げれば、先程よりも眉間に皺が寄った状態で私に視線を向ける彼の姿が・・・。
「・・・ほー、Aからしたら俺は色恋沙汰に興味無さそうに見えるのか」
「え?そりゃあ、兄者から浮いた話しを一切聞かないし?」
あれ、なんだが若干怒ってる?彼のなんとも言えぬ気迫に押され、思わず一歩横に退く私に彼は容赦なく距離を詰める。
「それはお互い様だろ。そもそもいい歳した男が“幼馴染”ってだけで部屋に入れると思ってるのか?俺も男だぞ、少しは気付けよ。・・・俺なりに我慢してきたけどもう限界」
そう言って彼は手にしていたコントローラを投げ出し、そのまま私の後頭部に手を回した。
心のどこかで想っていた
もしかしたらの可能性
「あ、兄者っ?!」
突然の出来事とサングラス越しに近付く紺碧の瞳に私は赤面し、彼の名を口にした。そんな私を見て相変わらず彼はニヒルに笑うが、私の後頭部を抑える手は緩まない。
「良い機会だ。鈍感なAに色々教えてやるよ」
私の反抗の言葉は彼の優しい口付けによって掻き消された。
【END】
221人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時