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歪んだ相愛3(兄者)※ ページ43

この数日で俺以外に会った男なんか居たのだろうか。いや、会えない代わりに彼女とこまめに電話をしていたのだからその可能性は低いだろう。それに俺とこれからどうこうしようってのに痕の事に気が付いている気配がないところを見ると浮気をしてと言う感じではないようだ。そもそも彼女の人間性から他の男とする様な女ではない。とすると唯一ここ数日で会った男と言えば・・・。


「・・・なぁ、A。弟者と喧嘩でもしたか?」


痕の事は聞かず、まさかとは思いながらも思い浮かんだ男の名を口にする。俺の言葉に彼女の動きが一瞬止まった様に見えたが、直ぐにはにかんだ笑顔を見せた。


「ううん、そんな事ないよ。何で?」


弟者程嘘が下手ではないが俺から視線を外したその笑顔で疑念が確信へと変わった。彼女なりに気を使ってなのか、触れて欲しくなかったのかどちらにしても吐かれた嘘。


本当は気が付いていた
あいつが彼女を好きなのを
気が付かないフリをしていた
初めて彼女を会わせたあの日
同性の兄弟だからこそ分かる、好意の視線に


本当に至極単純明快な話だ。弟が彼女を襲った。ヘタレだから手出し出来ないだろうと心の何処かでタカを括っていたのかも知れない。結果、あいつは男で狼だったわけで。いくらヘタレでも体格の良いあいつが本気を出せば彼女も抵抗の仕様がないだろう。この痕は差し詰め俺への当てつけか、はたまた嫉妬からの突発的なものか・・・。しかしその答えに行き着いた瞬間、俺の身体を悪寒にも似た感覚が襲った。


俺じゃない男に甘い声を出し
俺じゃない男で熱を感じ
俺じゃない男が彼女に欲望を吐き出す


怒るわけでも悲しむわけでもなく、その光景を想像しただけで熱を感じる時のあの気持ち良さに似た何かを感じた。その光景を見たいとすら思うこの狂った感情に俺は思わず口元を押さえ笑みを浮かべた。そこでようやく、これが欲求からくる興奮だと言う事に思い至る。ドSな方だとは思っていたが、我ながらここまでとは思いもしなかった。




【NEXT】

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設定タグ:2BRO. , 兄者弟者 , おついち   
作品ジャンル:恋愛
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時

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