恋薬(弟者) ページ26
ーーー弱ってる時ほど、君が恋しくてーーー
カーテンの隙間から朝の日差しが射し込み、薄暗い部屋を明るく照らす。これから一日が始まると言う朝、俺は1人ベッドの上で迎えていた。全身に広がる悪寒と、止まらないくしゃみと言う最悪の組み合わせの目覚め付きで。
「おい、弟者、いつまで寝てんだ。早く朝メシ食えっておっつんがうるせぇからさっさと降りて来いってあら?」
一向に食卓に現れない俺を急かしに、おついちに起こしてくるよう頼まれたであろう兄者が部屋のドアを乱暴に開けて入って来た。何とかベッドから出ようと、半分ほどベッドから這い出た状態でそのままフローリングで力尽きた俺を見た兄者が疑問の声をあげた。
「井戸から這い出て来るっつーアレ的な?」
「お、弟を見て開口1番それって・・・」
「冗談だよ。なんだ、具合悪いのか?」
そう言いながらも冗談すら返せない俺の状態を見た兄者が直ぐに駆け寄って来て俺の額に自分の手を当てた。
「・・・随分と熱いな。今氷枕とか持って来てやっから、取り敢えずベッドで寝てろ」
そう言って兄者は俺の脇に自分の腕を通し、軽々と俺を持ち上げベッドへと引き戻した。
「ったく、世話のかかる弟だな」
そう悪態を吐きながらも兄者はきちんと俺に布団をかけ直し、大人しくしてろよと言い放って部屋を後にした。
「昔から変わんねぇな、兄者」
そんな兄者の言動に苦笑いしながら、俺は体調の悪さから直ぐに眠りについてしまった。
【NEXT】
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アルバ - コメント有難うございます!殆ど自己満足みたいな文章で申し訳ない感じですが、そう言って頂けると嬉しいです!また温かいお言葉有難うございます( ´ ▽ ` )毎日猛暑ですが、ななしのゴンベイさんもお体に気を付けて下さいませ。 (2018年7月18日 23時) (レス) id: 5ec2af47b2 (このIDを非表示/違反報告)
ななしのゴンベイ(プロフ) - 確りとした世界観と、読みごたえある文章に惚れ込みました。日々の癒しとして、これからも愛読させていただきます。日差しが厳しくなって参りましたが、お体には気をつけて執筆活動を楽しんでください。 (2018年7月18日 5時) (レス) id: 5d365d193a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルバ | 作成日時:2018年6月19日 12時