青く澄んでは (ページ5)

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『終わった…』

緊張した。
緊張しまくった。

でも不思議とかたくなりすぎることなく終えられた気がする。

…まあ、直前に大ファンの人と会ったもんな自分。
そっちのが緊張するわな。

何はともあれ、今日は終わりだ！

さて帰ろう、と棟を出ると、そこには見覚えのあるシルエットがあって。

『え、』

その声に反応したその人は、ゆっくりと私の方を振り返った。

「お疲れさまです」

『え、え！川上さん…！？』

その人はもしかしなくても川上さんで。
うっそ、まさか2回も会えるだなんて。

『どうされたんですか？』

「待ってたんですよ、あなたのこと」

『…というと？』

意味がよくわからず聞き返すと、「というと？って」と笑われる始末。

「終わる時間聞いたじゃないですか」

『…あ』

「見たところあなたここら辺の人やない感じしたんで。また迷子になられてもあれやし」

『…ご心配をおかけしまして申し訳ないです』

何やこの人、めっちゃ優しい人やん。
動画でしか知らない川上さんが、すごく近く感じた。

…あ、というか、

『何で私がここら辺の人じゃないってわかったんですか？』

「ん？」

『ビルとか見上げてたからですか？』

「ぷっ」

私この人のツボなんだろうか。

と思っていると、「おもろいなあ」と言われた。
やっぱりツボられてる。

「まあ、見上げてたからってのもありますけど、雰囲気ですかね」

『雰囲気…？』

「ここら辺の人っぽくない、何だか純粋な感じがしたんですよ」

『それは…褒め言葉ですか？』

「さあ？」

そうにやりと笑う。

うわあ、動画の通りSなんだ。

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