今でもあなたは

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夢を見た。

大好きな人と手を繋いで、河原沿いを歩く夢。

夕焼けで辺りは赤く染まり、うっすら星が見えるよ、月も見える！なんて空を見ながら話す夢。

野球をしていた子どもたちが、帰ろうぜ！と言いながらみんなで走って行く夢。

それを見て、可愛いねえ、あんな頃あったんだよな、やだその言い方おじさんみたい、ってじゃれ合う夢。

そして、野球少年の一人がボールを落として、それが道路に転がって、


その子が道路に飛び出して、








あなたがとっさに、









『はっ…！！！』



目を開ければそこは薄い暗闇。

私の、部屋。



『夢、か…』



どうして。

何で今出てくるの。

忘れようとしたことはない。忘れられない。

忘れたらいけないって、ずっと、そう。



涙なんてとっくに枯れてる。

でも何で、どうして。



『震えが止まらない…』



ああ神様。

やはりこれは呪いなのですか。

私に忘れるなと言っているのですか。

そんなことわざわざしなくても、忘れないのに。

前に進むなんてそんなこと、する訳ないのに。



「A」



私の名を呼ぶあなたの声を忘れた日なんか、1日もないよ。


布団ごと自分を抱きしめるように、ベッドの上でうずくまった。



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